内容説明
地上百数十階の都市に人々がひしめき、野生動物のほとんどが絶滅した近未来。チンパンジーを保護・研究する学者であるパパとでかけ、事故にあったとき、エヴァは十三歳の、黒く長い髪と青い目の女の子だった。だが二百日を越える昏睡からようやく目ざめたとき、エヴァが鏡のなかに見たものは…。人類衰亡の時代に、ただ一人の「新しい存在」として目ざめてゆく少女を描く、実力派作家の異色のSF。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あたびー
24
多くの野生動物が絶滅し人口増加により人間が本当の意味での生きるという事を忘れかけている社会。事故で致命的な大けがを負った少女エヴァは父の研究所のチンパンジーの体を借りて目ざめる。大企業と結びつくマスコミが強大な権力を持ち、研究費を盾に科学者をも支配しようとする。自然保護活動家のグロッグの助けを得てほかのチンパンジーたちと共に南海の孤島で暮らし始めるエヴァ。エヴァとチンパンジーたちとの生活の描写はとてもリアルで楽しい。’88は未だ人口増加が問題になっていた。現実には大量自殺が増えるより出生率が下がった。2020/05/06
アキ
17
人類がその精神や希望をなくすとともに逸早く野生動物が絶滅に瀕し、文明までが滅びつつある近未来。事故という出来事の中、幸運(?)と不運の奇跡的な巡り合わせによって、この世に繫ぎとめられた少女エヴァ。目覚めた時にはその過酷な代償として「ただ一人の存在」となり「新しく生きる」宿命を背負うことに…。邦題は意味深(原題《Eva》)。自分なら目ざめるたびに、狂気の淵をさまようはず。そのことを暗示する悲しい記述も別にあったので、それこそエヴァ「だけ」は特別だったのかも。児童書なので読んだ子供達のことが気になります…。2016/03/17
nico
14
これ、中2で読んで衝撃を受けた作品。(エヴァンゲリオンとは関係ありません)遺伝子とか人類学、再生医療に興味あるかたなら面白いと思う。人間の生き方を問われる作品。再読したいけど、積んである。しかし紹介したいので浮上させた。2016/03/27
まこ
8
突然の環境変化に対してどう折り合いをつけていくか、これをエヴァを通じて問いかけていくのだが、中盤あたりからエヴァが完全にチンパンジーの世界に溶け込んでしまった。エヴァ自身のあり方としては合ってるけど、大人側としてはあせるだろうな。本当にエヴァ=最初の女性になっていく。序盤で提示された作品世界が終盤でひっくり返るかもしれないことに世界はこんな風に繰り返していくんだろうか。2019/10/19
マッピー
5
児童文学として出版されていますが、大人が読んでも充分に満足できる一冊です。エヴァの逡巡、エヴァの努力、エヴァの決意。ティーンエイジャーのエヴァが、自分の一生をかけてチンパンジーたちを自然に返すのですが、エヴァが年老いて死を迎えるとき、彼女の仲間であり華族であるチンパンジーたちは…。この作者は相当にチンパンジーの生態を勉強したと思います。人間としてのエヴァの心、チンパンジーとしてのエヴァの身体、それが合わさったエヴァの個性。どれも説得力があり、だから物語の終焉を静かに受け入れることができるのだと思いました。2016/06/22
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