出版社内容情報
大西瀧治郎が主導した特攻誕生の背景には、いかなる戦況の変化、軍内部の動きがあり、それは日本人の精神構造とどう関係したのか?
内容説明
特攻の創始者という汚名を一身に引受け、一言の弁解なしに自刃した大西瀧治郎海軍中将。彼は「統率の外道」と自ら呼んだ特攻作戦を、なぜ、どのように決定したのか。豪放磊落な「海軍航空隊の第一人者」が戦局悪化の中迫られた選択を明らかにし、「特攻を送った側」の論理と思想に肉薄した名著。
目次
若いもんは生きて日本をつくれ
「特攻は統率の外道」
戦場と司令長官と軍人と
「百年ののち、また知己なからんとす」
戦争の名人がいなくなった
勝者と敗者の原則
有馬少将出撃す
大艦巨砲主義の反対者
及川は大西に賭けた
海大出身者にあらざれば〔ほか〕
著者等紹介
草柳大蔵[クサヤナギダイゾウ]
1924(大正13)年‐2002(平成14)年。横浜生れ。東京大学法学部卒業後、雑誌記者、新聞記者を経て、58年に独立。出版社系週刊誌の草創期にノンフィクション・ジャーナリズムに独自の方法論を編み出し活躍。66年、月刊「文藝春秋」に連載した「現代王国論」で文藝春秋読者賞を受賞。大宅壮一ノンフィクション賞選考委員(1回~15回)。雑誌、ラジオ、テレビで旺盛な評論活動を行う。84年、NHK放送文化賞を受賞。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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CTC
12
本年8月の文春学藝ライブラリー新刊。単行本は72年同社、もとは文藝春秋68年10月号と71年の『諸君』連載加筆という事だ(本書底本は83年の文春文庫)。テキストが出た頃に児玉誉士夫は何をしてだろうか?とググってみると…この本は[あゝ決戦航空隊]という東映映画になっている。確かにね、本書解説は鶴田浩二なのだ(いや、鶴田もこの原作の事は書いてるんだが…この文章があまりに良くって、映画の話が頭に残らないほど)。著者は大宅壮一に師事していたそうで、斎藤隆夫の評伝なども記した人。本書もかなり偏りを排した筆致と思う。2020/08/31
kiiseegen
3
再読。2024/10/31
シンミチ
0
特攻を送った側の真意は何であったのか。当人が何も弁解もまして解説などしたわけではないので、正確なことは分からない。もしかしたら、分からないままでいいのかもしれない。統率の外道とは、まさにその通りで、それ以下でも以上でもない。特攻は間違いなく最悪の戦術であり、絶対に繰り返されてはならない。特攻を実行した時点で、軍隊として終わっている。だって「統率の外道」なことなのだから。特攻を送った側は自ら納得して死を選べたが、隊員は違う。特攻が非難されても特攻に行った側が非難されることなどあってはならない。2020/10/11