内容説明
那覇市で妻がDVに耐えかねて夫を殺害。翌月には糸満市で自衛隊の戦闘機の墜落事故が発生。民間人が死亡し、沖縄では自衛隊への非難の渦が巻き起こる。那覇地検に異動した冨永真一は2つの事件の担当となり、粘り強い捜査で真相に迫る。貧困、基地、軍用地主。綿密な取材で〈沖縄の闇〉を抉り出した問題作!
著者等紹介
真山仁[マヤマジン]
1962年、大阪府生まれ。同志社大学法学部政治学科卒業。新聞記者、フリーライターを経て、2004年、企業買収をめぐる熱き人間ドラマ『ハゲタカ』でデビュー。07年に『ハゲタカ』『ハゲタカ2』(『バイアウト』改題)を原作とするNHK総合土曜ドラマ「ハゲタカ」が放映され、大きな反響を呼ぶ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
となりのトウシロウ
64
冨永検事シリーズ第三弾!シリーズ物とは全く知らず手にしましたが、前作を知らなくても十分楽しめました。那覇市内で発生した殺人事件。妻の自白に不審を抱いた冨永が事件の真相に迫る。一方、中国機と見られる領空侵犯にスクランブル発進した自衛隊機が墜落。民間人を巻き込んだ事故になる。冨永は殺人と墜落というかけ離れた事件を捜査する。その過程で「沖縄」の現実が炙り出されていく。緊迫感と疾走感が溢れるエンタテイメント小説になっていて、楽しめました。単に観光で訪れる沖縄の重たい鎖が厳しい現実を示していると感じました。2025/09/11
速読おやじ
14
『墜落』は、沖縄の基地問題や日米関係、自衛隊に深く切り込んだ作品でした。戦闘機事故で命を落としたパイロットや民間人に対して、原因がうやむやにされ、真実が政治や国防の名のもとに捻じ曲げられていく。富永検事の徹底的に事実を追及する姿勢は痛快で、楢原のような現場に真摯な人間の存在にも救いを感じた。軍用地主やDV、貧困といった複数のテーマも重層的に描かれており、物語に厚みを加えています。闇の中で正義や真実を貫くことの難しさと、その中でも声を上げ続ける勇気の尊さを教えてくれる一冊。自分は真実に向き合えているだろうか2025/04/20
かずぺん
6
アメリカに対する気遣いが分かります。トランプ関税も同じような気がします。起死回生の一手か無いですね。覚悟すれば出来そうな気がするのですが。2025/07/02
RmB
6
自衛隊機墜落事故と殺人事件、どちらか一つでも物語の主題として十分だと思いますが、本当の主役は沖縄なのかもしれません。2025/06/18
Micky
6
空自のエースパイロットが墜落した。一方、夫を殺害した妻が捕えられた。二つの事件を担当する冨永検事。無関係と思われる二つの事件だが“沖縄“という特殊性がその背景に存在する。 沖縄県民にとって基地は排除すべき存在、では国としての国防も不要か?沖縄返還後もまだまだ残る米軍との軋轢。本土で安穏と暮らす我々には思い至らぬことも多いのだろうなぁ。2025/05/22