内容説明
ニーチェは何を語ったのか。ニーチェを後世の芸術家や思想家はどう読んだのか。イサドラ・ダンカン、ハイデガー、フーコー、ジョルジュ・バタイユ、三島由紀夫、リチャード・ローティ、フランクフルト学派の人々がそれぞれの立場で共感を抱いたニーチェの言葉を紹介する。彼らがそこにどのような問題を発見したか、それが今日の思想にどう影響しているかを探究し、ニーチェ読解の多様性に説き及ぶ。ニーチェの面白さが十分に味わえる現代思想入門。岩波現代文庫オリジナル版。
目次
第1章 イサドラ・ダンカンのニーチェ
第2章 ハイデガーのニーチェ
第3章 フーコーのニーチェ
第4章 ジョルジュ・バタイユのニーチェ
第5章 三島由紀夫のニーチェ
第6章 リチャード・ローティのニーチェ
第7章 フランクフルト学派のニーチェ
著者等紹介
三島憲一[ミシマケンイチ]
1942年東京生まれ。東京大学人文科学系大学院比較文学比較文化博士課程中退。大阪大学名誉教授。ドイツ思想・近代化論専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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tonpie
16
ニーチェは、現代の思想とアートに圧倒的な刻印を残していると思う。人物にも書いたものにも惹かれるが、実際にニーチェを読む(もちろん翻訳)のは大変だ。頭がクラクラする。ドッと疲れる。数冊読んで、これは有毒で体に悪いと痛感し、それでも気になって仕方がない。「超訳」も読んだが、専門家筋が口をそろえて「ふざけんな」と罵倒しているし、読むと確かに消毒され過ぎて変な感じなので、これは止した。で、この本を読んでみました。 以下の人がニーチェをどのように解釈したかという話。↓2021/08/30
呼戯人
13
ドイツ文学者で長年ニーチェやベンヤミンを研究してきた三島憲一が、ニーチェにまつわる思想家、文学者、芸術家がニーチェをどう読み、語ってきたかをまとめた著作。ハイデッガーやフーコーだけでなく、三島由紀夫やリチャード・ローティなどのニーチェ観を紹介していて面白い。イサドラ・ダンカンがニーチェに影響を受けていたなど初めて知る事も多く、図らずも現代思想入門にもなっている。時代は未だにニーチェの時代だ。ナチスもポスト・モダンもネオ・リベラリズムも・・・。2016/12/26
bibliophage
11
ニーチェ自身のテキストを多く引用しつつ、約7名それぞれのニーチェ解釈・受容を紹介している。個人的には、フーコー,三島,ローティの章が面白かった。三島の作品にニーチェの影響が現れている(陶酔, 仮面,海など)という説明を読んでなるほどという感じ。形而上学的な真理が崩壊したのちに生まれる社会は民主主義の社会であるという認識をローティとニーチェが共有していた。著者が、超人とは一般には英雄崇拝的に理解されているが、既成の社会的かつ道徳的2017/09/17
うえ
10
「ニーチェはドストエフスキーや、神学に挫折したハイデガーのように、神がいなければすべてが許される、いわばなんでもありとなると考えていたが、実際には神がいなくなっても、そしてまたキリスト教の神のいなかった別の世界でもなんでもありではなかった。「人権」その他の法規範の発達と承認の現在の様子を考えてもそれは言える。19世紀のキリスト教の締め付けのゆえにこう考えてしまったのだろう」昔読んだときいまいち意味がわからなかったが、別の世界はともかくとして人権その他法規範は完全に神の代替物になれたと考えているっぽいな。。2022/05/22
さえきかずひこ
10
イザドラ・ダンカン、ハイデガー、フーコー、バタイユ、三島由紀夫、ローティ、フランクフルト学派がニーチェのテキストをどのように扱ったかを考察する一冊。後半になるにつれて、難解さが増していく。 2017/11/21
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