内容説明
旅行会社の営業から阪神タイガースへ。メーカーの経理から広島カープへ。傍流の者たちが低迷、赤貧に喘ぐ球団の再建に身を投じ、どん底の組織をひっくり返す。野球は素人でありながらも、情熱を頼りに理想の球団の夢を追い求める苦闘の日々。サラリーマン人生を賭けた異端者の献身を、同志だった元巨人球団代表が描く実話。
目次
傍流者の出向
赤貧球団なんでも屋
あきらめたらあかん
焼肉丼の味
下剋上人事
主流派との闘い
マネー・ボールのあけぼの
社長室はソロバンをはじいた
血を流す覚悟はあるか
「コア」をつかめ
サクラサク
ボロボロになる前に
枯れたリーダー
耐雪梅花麗
著者等紹介
清武英利[キヨタケヒデトシ]
1950年宮崎県生まれ。立命館大学卒業後、75年に読売新聞社入社。社会部記者として警視庁、国税庁などを担当。中部本社(現中部支社)社会部長、東京本社編集委員、運動部長を経て、2004年8月より読売巨人軍球団代表兼編成本部長。11年11月、専務取締役球団代表兼GM・編成本部長・オーナー代行を解任され、係争に。著書『しんがり 山一證券 最後の12人』(講談社文庫)で第36回講談社ノンフィクション賞、『石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの』(講談社文庫)で第49大宅壮一ノンフィクション賞読者賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
10$の恋
31
実話ベースである。元新聞記者で巨人球団代表まで務めた清武氏が、球界のドン「渡邉恒雄」を糾弾して解任され、プロ野球の現状を書いた。ここにはかつて阪神・広島が最下位争いをしていたころの実態が述べられている。我々ファンの知り得ない裏側でこんなことがあったのか…。直系の親会社を持たない阪神と広島が低迷していた理由、野球OBのどんぶり思考や旧態依然の経営体制に対して、影で必死で球団を維持する「社員」。阪神・広島は悪習を打破するために野球経験のないサラリーマンが奔走した_。プロ野球ファン必読本!もちろん一般の人にも。2025/03/28
ぷにすけ
20
カープ・鈴木本部長と阪神・野崎元球団社長の奮戦記。プロ野球の運営の難しさをしみじみ実感。球団経営も考えながら、チーム強化の為に四苦八苦する姿は頭が下がります。そして、黒田復帰のくだりは感動モノです🥲2025/03/02
あまね
19
とても面白かったです。著者の清武氏がジャイアンツを卒業する時の大変さは、記憶に鮮明に残っています。ナベツネと対峙し球団を去っていく姿は背中に大きな傷を受けているようにみえました。その人だからこそ書けた今作。親会社との板挟みになる『サラリーマン球団社長』の大変さと悲哀が細やかに描かれています。また、監督の大変さもよく分かりました。私自身の贔屓の球団はこちらに出てくる球団ではありませんが、カープの熱狂的なファン心理が今更ながらによくわかり、俄かカープファンになってしまいそうです。2025/03/08
むた
13
少し古い話だが球界が揺れに揺れていたあの時代のことをよく覚えている。プロスポーツではほとんど表に出てくることのないフロント部門の働きがチームの成績を左右することを改めて感じた。身も蓋もないかもだけどなんぼ現場が頑張ってもいい選手がいなけりゃ勝てないし、環境がよくなけりゃいい選手が来ないのよ。2025/04/02
こうせいパパ
10
自分の好きなプロ野球の世界を、球団を運営する立場から追うことができた。華々しさを感じるプロ野球の世界も、運営側としての苦労や責任が数多くあることを思い知らされた。将来的な有用さが明らかな試みであっても、球団幹部の理解がなければ闇に葬られるのは勿体無い。2025/03/06