内容説明
ビジネスライクで安定と信頼の副業殺し屋、富澤允と鴻池知栄。お互いの存在を知らないが、彼らには揃いも揃って標的の奇妙な行動の裏を推理せずにいられない癖があった。各々が受けた依頼の謎に深入りするうちに、交わらないはずの二人の推理が驚愕の真実を導き出す。殺し屋が日常の謎に奔走する異色のミステリー中短編集。
著者等紹介
石持浅海[イシモチアサミ]
1966年、愛媛県生まれ。九州大学理学部卒業。97年、鮎川哲也編『本格推理(11)奇跡を蒐める者たち』に「暗い箱の中で」が掲載される。2002年、カッパ・ノベルスの新人発掘プロジェクト「KAPPA‐ONE」に応募した『アイルランドの薔薇』で単行本デビュー。04年『月の扉』が第57回日本推理作家協会賞候補、06年『扉は閉ざされたまま』が第6回本格ミステリ大賞候補(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハゲおやじ
73
第3弾。5つの短編から構成。今回は、富永と鴻池のそれぞれの仕事と富永の表の仕事の話が出てくる。表題作は、お互いの仕事が微妙な距離で行われて「そうきたか!」というオチ。富永は、標的の事を知り過ぎない事が信条だった様に思うが、本作では 何かと深堀りをしている… って ミステリーだからね。相変わらず 殺害描写は 私は苦手。鴻池の言葉の「殺人を何とも思わないタイプ」は、怖いし憤りを覚えるなぁ。どんな理由があろうと殺人は許される事ではない。表題作は、偶然が多くて ちょっと御都合主義かなぁ…。2025/04/26
こゆ
66
殺し屋シリーズ、3作目。富澤と鴻池、二人の殺し屋が交互に描かれる。最後の中編では、二人の殺し屋がついに同じ事件に関わりー。やっていることは殺しなのに、テイストは日常の謎でもあって面白い。倫理的にはおかしくても、富澤さんだったらまあいいか的な。でもなんだろうな、鴻池さんはどうも好きになれない。何より大事な娘がいるのに、罪なき人の命を奪うことを職業にしていて気が咎めないのだろうか…。サイコパスでないと務まらない殺し屋に恋愛感情を持って協力している雪奈と本多も怖い。都合が悪くなったら消される気がするんだけど。→2024/12/13
aquamarine
66
シリーズ三作目。基本はお馴染みの富澤と2作目から登場の女殺し屋・鴻池のそれぞれの視点の独立した短編。物語は殺人自体がメインではなく、見知らぬ依頼人から受けたターゲットを事前調査するうちにターゲットの周辺の事情を暴いてしまうむしろ日常の謎的ミステリ。主にターゲットの行動だけで見知らぬ依頼者と動機が想像できてしまうそのロジックには恐れ入る。途中殺し屋の視点ではない一編もあり(これも秀逸)さらにラストの表題作の中編では…!お互いの存在を知り、意識しながらもすっと背を伸ばし背を向けるような最後の展開はとても好き。2024/07/26
オーウェン
61
殺し屋シリーズ第3弾。 殺し屋を副業とする男女。 お互い関りはなく、それぞれの依頼が2話続き、最後の5話目は殺し屋のターゲットが関係している。 老夫婦と高校生カップル。 この2組が関係していることから、殺し屋が実行するかどうか。 また依頼者を含め、お互いの殺し屋がそれぞれ推理しあう。 単なる殺すだけでない点が面白いが、シリーズ4作目も出来るだろう。2024/06/17
aki☆
59
殺し屋シリーズ第三弾。依頼人も理由も知らずに淡々と仕事を受ける殺し屋たち。副業とは言えさすがプロだなぁ〜とは思うけどどうしたって気になってしまう。誰がどんな理由で殺しの依頼を?! 結局殺し屋たちの推理で知ることとなるけど、答えを聞くまで分かった試しがない。理由のほとんどが腑に落ちないものだけど、驚きと納得(?)の結末でとても楽しめる。特に表題作はたくさんの疑問と不安でハラハラだった。めでたしめでたし、とは言えないけど結末には満足。面白かった。2024/07/11
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