内容説明
「娘の千代に晴着を仕立ててもらえませんか」呉服店“鶴屋”の頼みでお竜は箱根へ向かった。器量よしで評判の鶴屋の一人娘だったが、惚れた男との仲を父親に裂かれ、心の傷を癒すため湯本で湯治をしていた。お竜と会い、心がほぐれていくお千代だが、再び“あの男”が姿を見せたことで恋の嵐が吹き荒れる。傑作痛快時代小説。
著者等紹介
岡本さとる[オカモトサトル]
1961年、大阪市生まれ。立命館大学卒業後、松竹株式会社に入社。同社の90周年記念新作歌舞伎脚本懸賞に「浪華騒擾記」が入選。86年、南座「新必殺仕事人 女因幡小僧」で脚本家デビュー。その後、劇場勤務、演劇製作の傍ら脚本を執筆する。92年松竹を退社。フリーとなり「水戸黄門」「必殺仕事人」「雲霧仁左衛門」などのテレビ時代劇の脚本、商業演劇、伝統芸能、音楽劇等多くの舞台の脚本・演出を手がける。2010年『取次屋栄三』で小説家デビュー。23年第12回日本歴史時代作家協会賞(文庫書き下ろしシリーズ賞)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いつでも母さん
124
仕立屋お竜シリーズ第5弾は最新刊。今回は雰囲気がいつもとはちょっと違う。特に3話目と4話目は自分の幸せとか、師匠・佐兵衛を同じくする兄弟子との遭遇だ。笑って過ごせる日々が幸せだと、勝之助との関わりで教えてくれていると思うけれど・・まだしばらくは『地獄への案内人』としてお竜の日々を追っていたいと思うのは酷だろうか。2024/02/27
タイ子
78
シリーズ第5弾。表の顔は仕立て職人、裏の顔は地獄への案内人。そんなお竜も行く末に悩むこともあるのですね。そりゃ女ですもの。自分が思う幸せの道を考えない事もないのです。今作のお竜は呉服屋の主の愛娘の着物の仕立ての要望から、娘が好きな男と別れざるを得なかった傷心を知る事に。娘が惚れた男の正体を知るや、お竜の腕が冴える。他にお竜には武芸の兄弟子の存在が居た驚き。その兄弟子の事情に一役買ったお竜と相棒の勝之助。やはり、お竜には今が一番心地いいのかも知れない。ファンもそれを願って止まない。2024/02/26
真理そら
53
お竜が仕立物の仕事を貰っている呉服屋「鶴屋」の一人娘は惚れた男との仲を裂かれて傷心を癒すために箱根・湯本でほぼ2年間湯治している。彼女の正月用の晴れ着を仕立てるために湯本に向かったお竜。一方お竜は時々町で出会う娘連れの浪人が気になっていた。今回はお竜の心の迷いや悩みがしっとりと描かれている。師匠である佐兵衛への気持ちが何なのか分からなくてもやもやしているのでしょうか。2024/02/08
やま
48
着物の仕立てを生業とするお竜は、呉服屋「鶴屋」の仕事を引き受けている。その鶴屋の主人孫兵衛から娘お千代を箱根湯本の温泉宿に預けて二年になるが、お千代の晴れ着を仕立てかたがた様子を見てきてほしいと頼まれる。二年前にお千代が好きになった小間物屋の与兵衛は、金にだらしがなく、女に手を上げる過去があった。それを知った孫兵衛は、お千代に与兵衛を諦めるように言うが、聞き入れないお千代を箱根湯本の温泉宿に預けた。2025/01/24
み
17
さくさくと♪お仲間が増えるかと期待しちゃいました。師匠はカッケー(^^)次作も楽しみです。2024/08/19