内容説明
「角栄は本当に有罪だったのか?」今日にいたるまでくすぶり続けるロッキード事件の様々な疑問を解明すべく、著者は事件の全貌を洗い直す。辻褄が合わない検察側の主張、見過ごされた重大証言、そして闇に葬られた“児玉ルート”の真相―。疑惑の背後に、戦後から現在まで続く日米関係の暗部が見えて来る!
目次
序章 霧の中の大迷宮
第1部(アメリカから飛んで来た疑獄;政治の天才の誕生;金権政治家の烙印)
第2部(トライスター請託の不可解;五億円とは何だったのか;裁判所の不実;吉永〓介;毒を喰らった男)
第3部(もう一つの疑惑;児玉誉士夫という生き方;対潜哨戒機;白紙還元の謎;“MOMIKESE”と訴えた男)
第4部(角栄はなぜ葬られたのか)
終章 残された疑惑
著者等紹介
真山仁[マヤマジン]
1962年、大阪府生まれ。同志社大学法学部政治学科卒業。新聞記者、フリーライターを経て、2004年、企業買収をめぐる熱き人間ドラマ『ハゲタカ』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ひろし
123
総理の犯罪として社会を震撼させたロッキード事件を、膨大な資料を読み込み、存命の関係者に当たり、著者なりの解釈を加えながら冷静な目で再評価したノンフィクション。意外なことに田中角栄の収賄罪が成立するかは法的に微妙なようで、検察が特捜組織の面子のため無理な法解釈を重ね、金権政治糾弾の世論に押されて裁判所も有罪にしてしまった、と現代の目からは見えるようだ。では、事件の本質は何だったのかというと、鍵となる人物について掘り下げ、仮説を提示している。真相は不明だが、日米の歪んだ関係に起因することは間違いないようだ。2025/02/17
AICHAN
38
図書館本。ギョッとするほど分厚い本。見た途端途、これは斜め読みするしかないなと思った。じゃなければ期日までに図書館に返却できないと思った。それで、年取って脳が弱ってから禁じ手にしていた斜め読みをした。年取っているから斜め読みでは完全な理解はできなかったが、よく取材してまとめ上げているなと感じた。昭和史を語る上でロッキード事件は避けられない。田中角栄ははめられたのだという見方が出てきている。真相はどうなのか。2024/04/23
Daisuke Oyamada
37
私の年代でニュースとかを見て、うる覚えしているのは、福田赳夫首相くらいからです。調べてみたところ、昭和51年12月~昭和53年12月の在任です。 では、田中角栄はと思ったら、昭和47年7月から昭和49年12月、2年5ヶ月とそれほど長期政権というわけではない。 しかしその後、政界を牛耳っている印象がある。田中角栄から始まったと言われる「金権政治」本書ではその後継者、竹下、その後を引き継ぐ小沢。そんな記述が・・・ https://190dai.com/2024/04/02/ロッキード-真山仁/2024/04/02
しげき
26
数年前にNHKでも未解決事件として取り上げられたロッキード事件。作者が唱える真犯人には妙に納得してしまった。この事件を通じて「世論の声」の怖さが垣間見えた。2024/07/11
majimakira
17
真山仁氏渾身の、初のノンフィクション大作。戦後最大の疑獄事件にして、一方でカネの流れにも当事者の利害関係にも不可解な点が多く、そこに示されるファクトと真山氏の重厚な仮説が興味深い。故に依然検証・研究が終わらないことにも頷ける。真山氏や解説の奥山氏も仰る通り、対米・対中関係やそこに潜み得る謀略を通じた我が国の未来を占うためにも、本件の重要性は引き続き高いのだと感じた。事件の始まりとされる現金授受から50年、そして田中角栄氏が上告中に汚名と共に世を去ってから30年という節目に本作が文庫化されたというのも凄い。2023/12/18