内容説明
京の袋物問屋の隠居・又兵衛と知り合った空也は、大和国室生寺に向かう一行と同道することになった。途中、柳生新陰流正木坂道場で稽古に加わるのだが、次第にその有り様に違和感を抱く。一方、空也との真剣勝負を望む佐伯彦次郎が密かに動向を探っていた。空也の帰還を待ちわびる人々の想いは通じるか、そして勝負の行方は!?
著者等紹介
佐伯泰英[サエキヤスヒデ]
1942年、北九州市生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒。デビュー作『闘牛』をはじめ、滞在経験を活かしてスペインをテーマにした作品を発表。99年、時代小説に転向。「密命」シリーズを皮切りに次々と作品を発表して高い評価を受け、“文庫書き下ろし時代小説”という新たなジャンルを確立する。2018年、菊池寛賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
93
主人公が、磐音の息子の空也の十番勝負のかたがやっとつきました。最後の場所は大台ケ原でそこに行くまでにかなり時間がついやされます。柳生の里では、最初頃の精神が失われている様子が描かれています。また江戸への手紙で様子を磐音たちに知らせています。最後の決戦はあっけないもののかなり空也も深手を負うことになりまた。将軍も空也を気に掛けるなど実際とは異なるのでしょうが楽しめました。また今後は磐音の晩年の回想録を書かれるようです。2023/05/11
はつばあば
53
最後の最後にあの懐かしい「居眠り磐音」にばっちり登場の「品川柳次郎、幾代親子に武左衛門」が。あの武左衛門が空也の事をどんなに心配してくれていたかと思うと、人の温かさが嬉しくなりました。とうとう十番勝負も終わり・・傷ついたけれど生きている。生きることに執念を燃やす・・佐伯氏も然り。本を書く事に燃えてはる。空也の十番勝負ですからここで終わってもなんら不思議はないけれど、佐伯氏もきっと人の親。磐音夫婦や諸々の人々と空也の再会を必ずや書いてくださるでしょう。その時は空也が変っていくでしょうし題名も替わるかも(笑)2023/07/13
yamatoshiuruhashi
51
遂に完結。マンネリの果てに都合の良い設定だが、延々と読んできた読者としては予定調和で満足。2023/05/14
ひさか
37
2023年5月文春文庫刊。書き下ろし。シリーズ11作目。やっとの十番勝負。一刀で決した勝負は残酷なもので、短時間で終わった。どうにかこうにかお仕舞いに持ち込んだ感が強い。あとがきにある磐音残日録が楽しみ。2023/07/31
tengen
33
空也シリーズ完結巻。彦根から姥捨の郷へ向かう坂崎空也。ひと息ついた宇治で出会った京の袋物問屋かつらぎの隠居又兵衛一行と共に旅することになる。剣術好きという又兵衛の紹介で、柳生新陰流創始の地である大和国柳生の庄に立ち寄る。空也は真の将軍家師範役といえる正木下道場で稽古を重ねるもその凋落ぶりに幻滅する。その後立ち寄った室生寺の深山幽谷に触れしばらくの独り修行を決意。そして厳冬の中、修行最終の地・紀伊山地の大台ヶ原に入る。そこには、こちらも武者修行を終えようとしている佐伯彦次郎が待っていた。遂に雌雄が決する。2023/05/17