出版社内容情報
日本人記者が赴任したソ連は「特ダネ禁止」の土地だった。謎の美女、尾行、スパイ……ソ連崩壊を巡る情報戦を圧倒的リアルさで描く。
内容説明
日本人特派員、土井垣侑が降り立ったソ連は“特ダネ禁止”の地だった。謎に包まれた帝国で監視の目を潜り取材を開始する土井垣。しかし、その周囲では次々に不可解な出来事が起こる―。世界的スクープを報じた斎藤勉をモデルに、魑魅魍魎が蠢くソ連崩壊前夜を圧倒的リアルで描いた社会派エンタメ。
著者等紹介
本城雅人[ホンジョウマサト]
1965年、神奈川県生まれ。明治学院大学経済学部卒業後、スポーツ紙記者としてプロ野球、競馬、メジャーリーグ取材などに携わる。退職後、松本清張賞候補作の『ノーバディノウズ』で2009年に作家デビュー。同作でサムライジャパン野球文学賞の大賞を受賞。17年『ミッドナイト・ジャーナル』で吉川英治文学新人賞受賞。18年『傍流の記者』で直木三十五賞候補(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Y.yamabuki
15
計らずも凄いタイミングでの読書になった。新聞記者の土井垣はソ連崩壊の前夜、モスクワに赴任する。明るい未来が待っているかのようにロシア国旗へと代わる瞬間のプロローグ、そこから遡って「けして時計の針を戻してはいけない」とのサハロフ博士の演 説「クーデターを潰せ!」と叫ぶ市民、から後半部の「二つの世界は接近し始めた。ただ、まだ一つになったわけではない」、今を予感させる土井垣の台詞へ。エピローグは2005年の土井垣の再訪。ロシアを懐かしみ、また若手に街を歩き、肌で感じる大切さを教える彼にほっとし、続く→2022/03/13
あつし@
5
ウクライナ侵略からひと月が経とうとしている。余りに衝撃的な出来事の映像からは未来に恐怖を覚える。間違ってもプーチンが破滅的な道を選ぶことがない様にと、1日でも早い停戦と平和を祈るばかりだ。産経新聞斉藤氏をモデルにした本書を読みながら、ついソ連崩壊の当時と現在のプーチンやロシアの考え方の様なものを知ろうとして読んでしまっていた。「ソ連という国は変わらない」「ソ連がロシアになっただけで、なにも変わってない」…悲惨な思いはどうにも晴れない。クーデターを市民が立ち上がって失敗させた様にやめさせる事ができないか?2022/03/20
minu tanu
5
歴史は繰り返すの典型がロシアなのか?読んで為になる本でした。2022/03/05
YH
3
この時代の事、知らな過ぎたからか面白く読めた。咲子さん、勇ましいけど、あの頃のソ連について行くって無謀だなと思った。それまで、KGBについては不穏さや不気味さはあっても、土井垣の知り合いが命を脅かされる事までなかったから、ラストで明かされたボリスの最期に不意打ちを食らった。ロシアの今を考えるとやっぱり暗い森の中なのかな。2024/03/03
ちゃあぼう
2
ソ連からロシアに変わる時代が動いた背景の事実とその状況を体験し取材をした人物をモデルにして描いた作品であった。当時のソ連の内側が描かれていて引き込まれるように読んだ。当時の記者たちは危険と隣り合わせの中でも、何とかして事実を伝えようとする記者魂に頭が下がります。ソ連からロシアへ移り変わる状況を学ぶには良い作品であると思う。2023/04/08