出版社内容情報
60歳の失業者アランは再就職のための最終試験に挑む。それは重役会議を襲撃せよというもの…「働く」意味を問いかける怒涛の長篇。
内容説明
リストラにあい失業4年目のアラン、57歳。再就職も出来ずアルバイトで糊口を凌いでいたところ、一流企業の最終試験に残ったという朗報が届く。しかしそれは「就職先企業の重役会議を襲撃し、重役たちを監禁、尋問せよ」なるものだった―。予測不能、驚天動地。知的企みに満ちたノンストップ・サスペンス!
著者等紹介
ルメートル,ピエール[ルメートル,ピエール] [Lemaitre,Pierre]
1951年、パリに生まれる。2006年、カミーユ・ヴェルーヴェン警部3部作第1作『悲しみのイレーヌ』でデビュー。同第2作『その女アレックス』でイギリス推理作家協会賞を受賞。日本では「このミステリーがすごい!」ほか4つのミステリー・ランキングで1位、「本屋大賞」翻訳小説部門でも第1位となった。『天国でまた会おう』でフランスを代表する文学賞ゴンクール賞、カミーユ警部3部作完結編『傷だらけのカミーユ』で、イギリス推理作家協会賞を受賞
橘明美[タチバナアケミ]
1958(昭和33)年、東京生まれ。お茶の水女子大学文教育学部卒業。英語・フランス語翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
313
3部構成をとっており、第1部と第3部をデランブルが語り、第2部はフォンタナの語りである。ヌーボー・ロマン風の眼の小説としては(巻末のリストにはないけれど)なかなかに効果的な方法。第1部はデランブルの煩悶と焦燥が覆い被さり、やや沈滞気味な様相だが、第2部からは一気にスピードが加速する。まさにルメートル得意の息もつかせぬという展開である。しかも、この後はプロットも2転3転し、着地点がわからなくなるサスペンスが連続する。その挙げ句の結末はやや物足りないような気もするが、まずは予定調和の地点に収束する。2023/08/16
ゆいまある
94
皮肉たっぷりの中年男の独白。最初は面白すぎて背筋がゾクゾクした。だがそれだけだった。詐欺を働いて大金を得ようとする主人公がどうにも好きになれない。元々はこんな人ではなかったようで、なのにどうしてこう反社会的になったのか、その経緯がよく分からない。最後の高速道路での残酷な美しさはさすがルメートル。2021/06/23
鱒子
89
失業後に不本意な仕事に就いたアラン57歳。上役をバカにし、同僚のことを虫けらだと思いながら、早朝3時間の勤務を終えて帰宅する。そんななか願ってもない好条件の再就職先が見つかりそうで……。 主人公の圧倒的クズっぷり!第1部を読むのが苦しかったです。しかし人物造形はさすがだし、後半のめくるめくスピードもすごい。何度も本を閉じてはため息をつき、なんとか読了です。2021/07/03
オーウェン
62
57歳でありながら数年前にリストラされたため、バイトの掛け持ちで生活するアラン。 大企業への就職面接に進めることになったが、そこでの面接は重役たちを監禁するというシミュレーションを実行すること。 3部に分かれており、1部は面接前。 2部は面接で、3部はその後という形式。 この面接だけでも異常な事態になるのは分かるが、そこから予想外の方向に進む。 このアランというキャラもかなり暴走しているし、終盤のやり取りもスピード感がある。 そしてラストの虚無感もまた独特。2023/01/10
坂城 弥生
51
高い失業率が背景にある話でした。やっと手に入れた再就職の試験がヤラせであったら…人は追い詰められるとなりふり構わず牙をむく。2021/04/22