出版社内容情報
大川に身投げをし謎の剣士に助けられた時、杉虎之助の波瀾の人生が幕開けた。幕末から明治へ、維新史の断面を見事に剔る長編。
内容説明
旗本の嫡男として生まれた杉虎之助は生来の病弱に加え義母に疎まれていた。そんな我が身を憂い大川に身投げしたところ謎の剣士・池本茂兵衛に助けられる。この瞬間が“その男”の人生の転機だった。虎之助は池本の弟子になることを決意し修行の旅に出る―。幕末から明治を生き抜いた剣士の一生と維新史の断面を見事にえぐる長編。
著者等紹介
池波正太郎[イケナミショウタロウ]
大正12(1923)年、東京に生れる。昭和30年、東京都職員を退職し、作家活動に入る。新国劇の舞台で多くの戯曲を発表し、35年、第43回直木賞を「錯乱」によって受賞。52年、第11回吉川英治文学賞を「鬼平犯科帳」その他により受賞する。63年、第36回菊池寛賞受賞。作品多数。平成2年5月3日没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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のり
57
病弱な「杉虎之助」は川に見投げするが、後の師匠となる「池本茂兵衛」に助けられる。この出会いが虎之助を取り巻く環境を一変させる事に…謎に包まれる師であるが剣の力量の高さに虎之助は魅力される。修行の過程で身体も丈夫になり変貌を遂げる。時は幕末で動乱の真っ只中。不穏な流れに身を投じていくのか…次巻へ。2020/01/22
優希
49
面白かったです。義母から疎まれていた少年が謎の剣士に助けられたことが人生の転機だったのですね。剣士になると決意した虎之助はこれからどのような道を歩むのでしょう。続きも読みます。2023/02/26
タツ フカガワ
26
時は幕末。旗本の嫡男杉虎之助は内向的な性格と虚弱な体質で継母から虐げられ、十三歳のときに大川へ身を投げる。彼を救ったのは剣客池本茂兵衛。以来、虎之助は茂兵衛とともに暮らすようになる。それから六年後、虎之助は別人のように逞しい剣士として江戸に現れる。読み始めて数ページで物語に引き込まれる池波劇場。礼子という謎の美女や、心形刀流の剣士伊庭八郎らと知り合いながら、虎之助が時代の動乱に巻き込まれていったところで、第二巻へ。2021/05/01
Kira
17
本棚登録のために再読。何度読んでも面白い。幕末をテーマにした他の池波小説ともリンクしていて、奥が深いなぁと思う。池波作品を読んでいるうちに、苦手な日本史にも少し興味がわいてきたのもいい傾向。2023/01/27
ぶんぶん
14
【図書館】新たな池波本を読み始めました。 青年剣士の流転の物語のようです。 一巻目を読んだ限りでは、何の目的も無い人生に「何か」が現れて、それに巻き込まれるようですね。 幕府隠密も明らかになり益々、波乱万丈になりそう。 「礼子」と夫婦になり、またまた波乱がありそう。 「伊庭八郎」が手出てきて、歴史に巻き込まれそう。 次巻に引き続き手が伸びそうです。2020/10/13