出版社内容情報
ひよっこ社労士(26歳、恋人なし)が、クライアントの会社で起きる、労働問題に絡む六つの事件に挑む。人気シリーズの第一弾!
内容説明
「退職理由を自己都合から解雇に変えて!」元社員が怒鳴り込んできた。嫌がらせで異動させられたと言う彼女と会社の主張は平行線、やがて会社の不正が明らかに…(「五度目の春のヒヨコ」)。新米社労士の朝倉雛子(26歳、恋人なし)が様々な事件で奮闘。読めば心がほっこり、労務問題の勉強にもなる人気シリーズ第1弾!
著者等紹介
水生大海[ミズキヒロミ]
三重県生まれ、2005年『叶っては、いけない』が第1回チュンソフト小説大賞銅賞受賞。2008年『少女たちの羅針盤』(旧題「罪人いずくにか」)が島田荘司選第1回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作に選ばれ、翌年デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
74
社労士という仕事に興味があったので読んでみた。す、ストレスフル……! 企業と従業員の板挟みになりまくる展開に、こちらまで胃が痛くなってくる。物語としては面白かったけれど、実際に就業なさっているかたがたの苦労がしのばれる。確かにやりがいはありそうだけど、私には無理かもしれない。2019/10/13
Yunemo
72
題名でつい手に取って。社労士の世界を描く労務ミステリーですか。6編それぞれに労務問題の提起がなされ、悩みながらも落としどころを見つけていく、そのプロセスが何とも感じ入って。自身の身近にある問題、現在の社会状況であるだけに、成程ね、と頷ける場面しばしば。2019年4月から順次施行されていく働き方改革関連法案。本作では俎板に乗っていませんが、個々に取り上げられた問題、有給、残業、同一労働同一賃金、まさに法案そのものの問題。これをクリアしようと、頭では理解していても、先が見えない状況下、鬱屈した不満だけ残って。2019/11/04
キンモクセイ
58
26歳にして新米社会保険労務士。ブラック企業、パワハラ、残業問題と様々な問題に直面するが悩みながら奮闘する。社労士って会社側的な考えだけど、主人公の朝倉雛子は労働者側に肩入れ過ぎ感がある。それが気になった。とは言え勉強になるのは確か。算定基礎届は労働者が今後1年間で支払う厚生年金、健康保険の元になる。4月から6月の賃金で作る。従業員が10人以上だと就業規則を労働基準監督署に提出しなければいけない。妊娠中や出産後1年を経過しない女性労働者の解雇は原則無効など。社会保険関係は勉強しておいて損はないと思う。2020/07/19
のんちゃん
49
お仕事小説。今回は社会保険労務士、労働、社会保険問題から年金関係まで、会社の総務部に関わる国家資格の専門職。小さな社労士事務所に勤める新米社労士雛子が経験する、ミステリー仕立ての短編集。冒頭の一話はアンソロジーで既読。ほとんどの話が現実的終わり方をしていて、リアリティがある。が、勧善懲悪が好きな私には少し残念な気が。成長途中の雛子だから仕方ないとは言え、もう少し報われてもとの感があった。最終話はちょっと光が差したが。会社総務関連のあり様についても勉強になる一冊。2019/11/14
chiseiok
48
個人的な業務上の必要に迫られ、さわりレベルで良いので労務関連の知識が必要だなぁと感じて手に取りました。今時はどんなお仕事ジャンルにも小説があって良い時代です。不純な動機で読み始めたものの、期待以上の面白さ、楽しめました。新米社労士の成長を軸に、様々な労務関連の問題解決してゆくコージーミステリ。企業総務とそれを外部支援する社労士、そして被雇用者、それぞれの立場で苦悩があるんだなぁと感心する事しきり。コンプラ最優先の時代には、伝統や職人技を伝える徒弟制度的な就業形態はもう成り立たなくなるのかなぁ。次巻も読む!2023/04/23