内容説明
移動デリを経営するバツイチでアラサーの夏都。借金を返しながら、海外赴任中の姉の息子・智弥を預かる生活はぎりぎりであった。ある日突然、中学生アイドル・カグヤのファンたちに車ごとさらわれた夏都は、芸能界の闇に巻き込まれていく。カグヤとファンの暴走に思われた事件は、思いもよらぬ結末を迎える。
著者等紹介
道尾秀介[ミチオシュウスケ]
1975年生まれ。2004年『背の眼』でホラーサスペンス大賞特別賞を受賞しデビュー。07年『シャドウ』で本格ミステリ大賞、09年『カラスの親指』で日本推理作家協会賞、10年『龍神の雨』で大藪春彦賞、『光媒の花』で山本周五郎賞、11年『月と蟹』で直木賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
三代目 びあだいまおう
294
不思議な読み心地でした!移動デリ(ワゴン車のランチ販売)で頑張る主人公夏都。その動機はいささか悲しいが負けず嫌いの夏都は意地と工夫で頑張る。海外に赴任した姉の息子を預かり、まるで親子のように過ごす。やがて芸能人のスキャンダルに巻き込まれ!分かりやすい展開に都度裏切られ翻弄されいつしか頑張り屋の夏都に惚れ応援したくなる。主題が見えないまま終章で予想外の伏線回収!p334の数式が問い掛ける意味!不可逆的な些細な行為が知らぬ間に取り返しのつかない程に!解説で知るタイトルの意味に本作の深い問い掛けが刺さる‼️🙇2019/12/10
イアン
115
★★★★★★☆☆☆☆著者初の女性主人公となる道尾秀介の長編エンタメ。ランチワゴンで生計を立てる夏都は、営業中に人違いで車ごと誘拐されてしまう。連れられた先である秘密を知ってしまった夏都は、甥を巻き込んで誘拐グループと行動を共にすることになるが…。序盤はミッションのスケールが小さく感じられ読み進めるのに苦労したが、終盤にかけての伏線回収は道尾秀介の真骨頂だ。明かされた動機は子供じみたものだが、その未熟さが作品全体にほろ苦い余韻を与えている。最後のページを読み終えた時、少しだけランチワゴンを応援したくなった。2024/05/20
相田うえお
109
★★★☆☆19090 書き出しは、原宏一さんの『佳代のキッチン』みたいな移動デリをメインにした内容なのかと思ったんですが、急に木下半太さんみたいなドタバタ話になってきまして...でも、ラストは予想外の展開で、しかも深く考えさせられる結末でした。当方的には移動デリ話のまま進んで欲しかった気もしますが楽しく読ませて頂きました。当方が今までに読了した道尾秀介さん作品に、こんな作風のものは多分無かった気がするなぁ〜。イメージが随分と違うから、読んでて誰の作品を読んでるのか忘れてしまう不思議な感覚でしたよ。2019/09/28
H!deking
99
いやー、これも面白かった。ドタバタ劇のなかにも心に残る素敵な言葉が散りばめられていますね。読後タイトルの意味を調べて妙に納得。なんだかんだ言ってやっぱり好きな作家です(笑)おすすめ!2019/10/12
佐島楓
75
最初は道尾秀介らしくない作品だなぁと思って読んでいたが、終盤の展開でこれこそ道尾作品だと評価が大逆転した。この感覚は個人的にとても共感できる。2019/10/05