出版社内容情報
いじめや自殺が日常にありふれている世界で生きるカズハ。女子高生の恋愛・友情・家族の問題がつまった二日間を濃密に描く傑作小説。
内容説明
女子高生の唐坂和葉は17歳。隣のクラスの沢くんへの告白の返事は「まあいいよ」。いつもヘッドフォンをつけていて「ハブられている」クラスメイトの初岡と、沢の会話を聞きながら、いろいろ考える。いじめのこと、恋愛のこと、家族のこと。十代のめまぐるしく変化する日常と感情と思考を、圧倒的な文体で語る新感覚の小説。
著者等紹介
最果タヒ[サイハテタヒ]
1986年、兵庫県神戸市生まれ。2006年、現代詩手帖賞を受賞。07年、詩集『グッドモーニング』を刊行。同作で08年に中原中也賞を受賞。15年、『死んでしまう系のぼくらに』で現代詩花椿賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
papako
70
ずっと気になっていて。楽しめた。この作家さんは詩人?なので独特の文章でした。読みながら、なんか『歌』を読んでいるみたいだなぁと思っていました。すごくめんどくさい女子高生の思考を読まされるんだけど、私は10代の時には、こんなに色々考えてなかったな。めんどくさいけど、おばさんから見たら可愛かった。そしてあとがきを読んで、やっとタイトルに納得しました。内容は違うけどナカムラエミとか見田村千春とかamazarashiの小説版みたい。ちょっと気に入りました。2019/10/08
佐島楓
62
自問自答の繰り返し。私は十代の頃、こんなもつれた面倒くさい思考回路の持ち主だったっけ。もう少し単純な子どもじゃなかったか? 子どもの不自由さ、女子高生というレッテルは感じていたかな。というようなことを延々と考え続けてしまう。過去の延長線上にしか今はない。2019/05/09
tenori
60
10代を卒業した大人達に捧ぐ。冒頭2行『感情はサブカル。現象はエンタメ』『つまり、愛はサブカルで、セックスはエンタメ』反感と意義を唱えずに読み進めるべし。既に過去となった10代に自分がどう生きていたのか。単なる歴史(それが白だろうが黒だろうが)として黙殺しているならば、それは今を生きていることへの冒涜ではないか。自分本意で屁理屈を並べ支離滅裂で刃物のごとく周囲を傷つけようとする主人公の行動は、不本意ながらも群れに馴染むことで影を薄くすることを選択した人達の感情の発露なのかもしれない。鮮烈。2022/05/02
もちまる
41
文庫本発売で再読。10代特有(?)の自意識過剰な自分世界から起こる悩み。誰も同じように悩み苦しんでいる(いた)ことが周りの人たちの行動から少しずつ感じる主人公。最果タヒさんの独特な世界観は飽きないです!2019/07/28
春が来た
33
私の十代なんて、思い出したくもないから、二十歳の誕生日に落書きだらけのジャージと一緒に丸めて捨てた。ジャージに落書きしたのは私。なんでそんな事をしたのかなんて、そんな気持ちはもう思い出せない。なんにも考えてなかったんだろう。それでよかった、青春なんてそんなもの。とか嘯く。だから懐かしむなんてことはしてあげない。過去から続いてる私だけど、私は今、この瞬間を生きているんだ。2019/12/29