出版社内容情報
美大合格を機に上京した友親に、やさしく接する先輩・若菜。しかし、二人はそれぞれに問題を抱えており――みずみずしい青春の日々。
額賀 澪[ヌカガ ミオ]
著・文・その他
内容説明
美大に入学したての友親は、知り合った先輩の若菜と親交を深めるうちに、自らの中にある問題に向き合うことになる。一方、若菜も心に傷と秘密を抱えていて…。友親の前に現れた少女・恭子は何か知っているのか。かつての悲恋、家族との軋轢、才能への渇望と絶望―若者の痛みとその再生を描く青春小説。
著者等紹介
額賀澪[ヌカガミオ]
1990年、茨城県行方郡麻生町(現・行方市)生まれ。日本大学芸術学部文芸学科卒業後、広告代理店に勤務。2015年、『ヒトリコ』で第16回小学館文庫小説賞を受賞。同年「ウインドノーツ」(『屋上のウインドノーツ』に改題)で第22回松本清張賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ちょこまーぶる
72
読後はホッとした一冊でした。美大生の学生生活や家族関係の中での痛み・葛藤と少しづつその問題がほぐされていく過程に付き合って、辛さと安堵感の両方の感情を抱きながら読みました。主人公である友親と先輩の家庭環境の影響で惹かれ合ったのかもしれませんが、ある意味屈折した家庭環境に自分たちなりの折り合いをつけながら送る学生生活でも様々な経験をしていく彼らは物凄く成長しているんだろうなと思いますね。そして、屋上でのシーンでの彼らのやり取りに固唾をのんでしまっていました。映像にしても素敵だなぁ~と思う一冊でもありました。2022/05/31
佐島楓
66
どんな人も大切なものやひと、抱える苦しみや痛みはそれぞれ異なっているということを忘れずにいたいと思う。2018/06/13
えりこんぐ
64
美大のボロい寮で、共に暮らす友親と先輩の若菜。夏らしい装丁、クリームソーダ..なのにどんどん重くなるストーリー。家族は仲良くしなくては、の理想を押し付けた側と逃げ出す側。どちらもわかる気がする。無理矢理な団欒は苦しいけど、年に1回ぐらいは実家に顔を出すのも大人の対応だろうと思う。ヨシキの決断が悲しくて、それに向かわせたのが自分だと思うと...若菜も幸せになってほしい。【積読73】2020/08/30
優希
59
若者ならではの痛みと再生の物語。痛みが身体中を貫いていました。2021/01/21
dr2006
50
人間の利己的な渇望を小説というキャンバスに描く。深く感情移入した。主人公の友親は美大に入学したばかり。親の仕送りを断った為、バイト代が入る前で空腹に倒れていたところ、同じ寮に住む先輩の若菜がご飯を食べさせてくれた。成就できない悲恋、正しい家族になろうとする家族、才能への羨望といった揺れる心情がストーリーを強くけん引する。作中、バニラアイスと炭酸水で作った「白いクリームソーダ」を飲むシーンがある。ふと、散々ふたりで飲んだ後で、あのこが作ってくれた赤裸々なレッドアイ(ビール&トマトジュース)を思い出した。2024/08/29