出版社内容情報
「週刊文春」の人気連載を集めた第三弾の単行本「変わらないために変わり続ける マンハッタンで見つけた科学と芸術」の文庫化。
2013年4月から2015年1月までの2年弱、著者の福岡伸一氏がニューヨークに滞在していた時期の連載をまとめたもので、かつて研究員として働いたロックフェラー大学に客員教授として赴任すつところから始まるので、この巻だけで「福岡ハカセのニューヨーク滞在記」として独立して読むこともできる。
著者が特に愛着があるというこの書名は、「動的平衡」という、生物を定義するキーワードとして著者が提唱する概念を分かりやすく表現したもの。生物は、大きく変わらないために、小さな部分でつねに変わり続けなければならない。これはそのまま、大学にも、街にも当てはまると著者はいう。ロックフェラー大学は「生命科学研究の最先端」であり続けているが、その中で行われている研究内容はめざましく変化している。そして、ひさしぶりに滞在したニューヨークという街も同じだ。
本書の中で、著者はその大学で出会った最先端の科学研究の成果を、高揚しつつも平易に解説し、科学に対する興味を掻き立ててくれる。そんな中で日本では「STAP細胞」騒動が起きるが、この件についての著者の「先端科学者としての分析」にも鋭いものがある。
そして、ニューヨークの日常生活も発見の連続。文化、芸術の分野でも一切の停滞を許さないダイナミズムが満ち溢れる。中でもフェルメールに対する作者の愛が溢れる章はすばらしい。
ニューヨークで暮らす著者の興奮、感動、喜びが、そのまま読者に伝わってくる一冊。
内容説明
若き日に研究者としてすごしたニューヨークの大学に、客員教授として再び滞在する福岡ハカセ。最先端科学に高揚し、街と文化に刺激される。大学も街も、つねに変化を続けることで、変わらずあり続けている。これはまさに生命の「動的平衡」そのものではないか。週刊文春連載の人気エッセイ、待望の第4弾。
目次
第1章 修業時代の母校ふたたび
第2章 世界の生命科学最前線
第3章 異国で文学を思う
第4章 食文化差の理科的考察
第5章 ニューヨークの自然観察
第6章 自由と違和感のアメリカ文化
第7章 滞在二年目だからわかること
第8章 世界を股にかけフェルメール巡礼
著者等紹介
福岡伸一[フクオカシンイチ]
1959年東京都生まれ。京都大学卒。ハーバード大学医学部研究員、京都大学助教授などを経て青山学院大学教授。分子生物学者としてのキャリアに裏打ちされた科学の視点と、平易で叙情的な文章でサイエンスの魅力を伝える書き手として人気を博し、『生物と無生物のあいだ』がベストセラーに。サントリー学芸賞・新書大賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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香菜子(かなこ・Kanako)
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紫
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