出版社内容情報
大手メーカー宣伝部副部長の広岡修平に辞令が唐突に下る。身に覚えのない左遷には、社内に渦巻く陰謀があった。広岡の戦いが始まる!
内容説明
大手メーカー宣伝部副部長の広岡修平に、左遷辞令が下る。有能で人柄も良く、同期中の出世頭だったはずなのになぜだ!?自ら調査に乗り出した広岡は、ファミリー企業に巣食う利己的な思惑と保身、讒言、足の引っ張り合いに巻き込まれていく。不可解な「辞令」をモチーフに、組織と人間のあり方に迫る。
著者等紹介
高杉良[タカスギリョウ]
1939年東京生まれ。化学専門紙記者、編集長を経て、75年に「虚構の城」で作家デビュー。経済界全般にわたり、綿密な取材に基づき、話題作の数々を発表する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
423
会社模様がとにかく古いのは仕方がない。もう20代にはピンとこないかもしれない。高杉作品でおなじみの老害オーナーと若手中間管理職の構図で、そこに色々絡んでくるが、妻帯者の女遊びも仕事のうちだと言わんばかりの描写が高杉氏は多いので、今であれば袋叩きにあいかねないなと時代の変化を感じる。割と起伏はあり、脇を固める人物たちも味があるので、氏の作品の中でも手軽に楽しく読める方だと思う。社内での根回しや意見調整の描写がえらくリアルな時があって面白い。2017/11/24
いつでも母さん
169
辞令ー渡す方は駒を動かす醍醐味。渡された方は悲喜こもごもあるだろう。殊にここのようなファミリー企業の場合トップは逆に試されるのだと思う。オーナー経営者は息子に継がせたいのは山々だが、それは会社を思っての事か否か・・明白だよね。出来る者は敵も又、出来る。それでも会社の為に与えられた所で頑張るんだ。それがこの広岡だ。だがもう、転職しちゃえ!サラリーマン、定年までに何度辞令をもらうのだろう・・あゝ、これは30年前の作品だが、今も通じるのがちょっとリアルだった。2018/07/03
じいじ
116
仕事の現場を離れて、かれこれ20年。現在の企業状況は大いに変化していると思う。さて、中間管理職を主人公にし、タイトルの「辞令」をモチーフにした経済小説。会社内の人間関係、取引業者との駆け引き…など現役当時の状況をよく捉えられて描かれていて懐かしさを感じた。いかんせん、時代感覚も鈍くなっている今の私には、これを読む時機を逸しているようだ。2・30年前に手にしていたら、もっと緊迫感・緊張感を抱いて読めたと思う。いま、第一線でバリバリ活躍されている企業戦士の諸氏にお薦めしたい一冊です。2018/04/03
さっとん
77
30年以上も前の作品とあってさすがにところどころ時代の違いを感じずにはいられませんでしたが、いつの時代もサラリーマンというか組織に属する人間の本質は良くも悪くも変わらないものですね。 解説にもあるように会話を中心に展開されているので小難しい内容も読みやすく、人間関係の複雑さや組織の理不尽さもよく伝わってきます。 特にワンマン・トップダウンの組織では能力の優劣よりいかにトップに迎合するかが重要視され、いかに人財を無駄にしているかが分かります。2021/05/21
竹本明
70
久しぶりにこの作家の作品を読んだ。ビジネス書というよりも、社内政治のことを中心に書いてあり、「辞令」の重さをつくづく感じる一冊であった。会社の人間関係、上司部下の関係等、うまく書かれてあり、公務員としても参考にできるところが多々あった。他の作品も読んでみたい。2019/10/20