出版社内容情報
老夫婦殺人事件の容疑者の中に、時効事件の重要参考人が。執念を燃やす検事・最上だが、後輩の沖野は強引な捜査方針に疑問を抱く。
雫井 脩介[シズクイ シュウスケ]
内容説明
蒲田の老夫婦刺殺事件の容疑者の中に時効事件の重要参考人・松倉の名前を見つけた最上検事は、今度こそ法の裁きを受けさせるべく松倉を追い込んでいく。最上に心酔する若手検事の沖野は厳しい尋問で松倉を締め上げるが、最上の強引なやり方に疑問を抱くようになる。正義のあり方を根本から問う雫井ミステリー最高傑作!
著者等紹介
雫井脩介[シズクイシュウスケ]
1968年、愛知県生まれ。専修大学文学部卒。2000年に第4回新潮ミステリー倶楽部賞受賞作『栄光一途』でデビュー。2005年には『犯人に告ぐ』で第7回大藪春彦賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どんふぁん
242
2018年6月14日読了。最初はあまり波のない話なのかなーと読むペースも遅く進み具合も芳しくなかったですが、途中から急旋回!すごく面白くなってきました。これは下巻が楽しみで仕方ありません。2018/06/14
こーた
206
正義のために一線を越える。大上段に構えたわりに、その振り下ろしかたがあまりに杜撰ではないか。象徴的なシーンがある。この小説の検事たちは、執務室で報告書を読みながら缶ビールを飲む。仕事場での飲酒だ。そういうことだって、実際にはあるのかもしれない。固いこと言うなよ。そんな声が聞こえてくる。しかし、だ。葛藤のすえに一線を越えるというなら、越えるまえは自らを厳しく律し、あるべき正義を体現するように振る舞うのが、この主人公の置かれた立場というものではないか。少なくとも小説とはそうあるべきものだと、ぼくはおもう。⇒2018/10/05
ゆのん
161
感想は下巻読了後。2017/12/03
イアン
153
2018年に映画化された雫井脩介の長編サスペンス。老夫婦強盗殺人の容疑者リストの中に記された一人の男の名。それは23年前に発生し未解決のまま時効を迎えた「根津女子中学生殺害事件」の重要参考人・松倉のものだった…。どんな手を使ってでも恩師の娘の無念を晴らしたい敏腕検事の最上と、最上を慕いつつも捜査方針に疑念を抱く若手検事の沖野。2人が信じる正義に乖離があるのは、正義という概念が持つ曖昧さゆえかもしれない。法律に欠陥(=凶悪事件の時効)があった時代だからこそ起こり得た悲劇。正義とは何かを嚙み締めつつ、下巻へ。2023/07/12
つーこ
127
どの職業であっても憧れの上司はおり、彼らに少しでも近づくべく、我々は頑張るわけだが。その上司の仕事ぶりに違和感を覚えてしまった時、若者は帰路に立たされる。検察という仕事の小説を読んだのは初めてだったのでとても興味深かった。「君たちは1本の剣を持っている。剣を持った者は勇者でなければならない。戦わなければならない。」という冒頭の最上の演説に私も心をグッと掴まれた。だからこそ、その後の彼の凝り固まった考えが、何とかほぐれることを願わずにはいられなかった。2018/01/24
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