出版社内容情報
「三国志」を著した陳寿は、諸葛孔明に罰せられた罪人の息子だった――。三国時代を生きた、梟雄、学者、女性詩人など十二人の生涯。「三国志」愛読者はもちろん、入門者にも最適。
三国時代を生き抜いた12人の知られざる人生を描く異色列伝。
・正史「三国志」を書いた陳寿。かれの父親は蜀の参謀を務め、魏軍に大敗したことで諸葛亮(孔明)に罰せられた罪人だったが、諸葛亮を恨むことはなかったという。なぜか? この思いが陳寿を歴史に向かわせ、後に彼に「三国志」を書かせることになる(「陳寿」)。
・ 高い芸術的感性を持ち、琴の名手でもあった女性・蔡?は、董卓に仕えていた父親の刑死により運命が暗転、匈奴の妾として人生を過ごすことに。長い転変の後、蔡?は「ある能力」で曹操を驚嘆させたーー(「蔡?」)。
・「勇気とか不屈とかいう精神は、政治や軍事の表舞台に立つ者だけが発揮するものではない」(本文より)。
・後漢末期から晋の時代に生きた、「三国志」の世界に独自の色彩を与える、十二人の異色の人物伝。わかりやすい後漢・三国年表つき。
宮城谷 昌光[ミヤギタニ マサミツ]
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Die-Go
52
図書館本。三国志に登場する有名無名の人物達の評伝のような、小説のような。歴史に埋没しがちな人物達だけに、このような形で読めるのは面白い。★★★☆☆2022/05/22
ジュール リブレ
40
巻末にたどり着いて年表を見た時に、本当の三国志の時代は、たった86年だったのだと知らされる。膨大な資料と文献にあたり、歴史絵巻を日本語であらわしてくださった宮城谷翁に感謝です。本作・外伝では、主役になりきらなかった人々にフォーカスを当てていますが、本当は、『三国志』を書いた陳寿を描いてあげたかったのかな。そう思いました。この時代に生きて、その才能を活かしけれたとは言えないけれど、時代と共に生きて、見届けて、最後まで語りあげた。そんな姿を自らに重ねたのかな。そう思わされました。十二巻+一巻、読了です。2019/11/16
楽
34
14年。宮城谷昌光を読むと自分でも書きたくなる。そんな魅力のある文章である。漢字に対する造詣の深さ、そしてリズムの心地よさ。司馬遼太郎にも通じるものがある。『史記』『後漢書』『三国志』などの史書から引くにしても隙間の埋め方が絶妙である■しかし。宮城谷『三国志』本編全12巻は新刊が出たらハードカバーで即購入していたが、尻すぼみに終わったのは残念だった。後漢の光武帝劉秀を描いた『草原の風』も肩透かしを喰ったので、長編に手を出すのは怖い。となれば、短評、短編の人物評であればまず外れはなかろう■続きはコメントへ。2021/05/10
Tomoichi
23
著者の三国志全12巻を読んで時間が経ち忘れて内容をこの「外伝」で改めておさらい出来ました。本編で詳しく紹介できなかった12人の物語。乱世は面白い人々を産み落とし、無残に殺していく。病死や若死でも天寿を全う出来れば幸せかもしれないが、幸運は子孫まで続かない。人生って難しい。。2016/11/10
Mzo
23
そもそもが宮城谷三国志は、三国志通でも知らないような人が多数登場する。それなのに、外伝ともなったら…と身構えていたが、意外と名前は知っている人が大半だった。このように、人物の生い立ちを繰り返し描くのが、本来の紀伝体であり、三国志を含む史書の面白さなのかな、とも思う。宮城谷三国志、全巻通して再読したくなりました。2016/10/11