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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
466
第一部の終了までだが、ここで全編が完結と言われても納得してしまいそうな終わり方である。序盤はいたって悠長なテンポで始まり、ジャン・バルジャンの登場からはスピードが上がり、やがて舞台をモントルイユに移してからは一気呵成に物語が展開する。作者自身が作中に顔を出すなど、語りのスタイルはいたって古く、いかにも19世紀小説であり、思想や感情の発露のあり方はこれまた典型的なロマン主義小説である。物語の後半からは、長編でありながらサスペンスの緊張を維持させ続けるのも本編に特徴的な点だろう。これで全5巻突っ走れるのか。2022/05/16
ケイ
152
再読。ジャン・バルジャンを助けた司祭についての記述が冒頭に100頁もある。仏革命と1815年のウィーン会議の間に生まれたユゴーは、国の体制が何度も簡単に揺らぎ崩れ、処刑を行ったものが処刑される立場になり、それに対する宗教の無力を目の当たりにしたのだろう。その中でレ・ミゼラブルの核となる考え方が生まれたに違いない。作家はおそらく聖書を何度も読み、実践していくには困難な事をビヤンブニュ司教にさせた。徳とは、正義とは、正直とは、神に仕えるとは、また悪に満ちた者にどう対応すべきかを作家は書きたいのだと思う。2017/10/05
ペグ
111
長大な物語の始まりは、その後のジャン・バルジャンに多大な影響を与えることになるディーニュの司教ミリエル氏の人柄、行動、住まいから同居人までが110頁にもわたり描かれる。先行きに不安がよぎるも作者に従いつつ第二章へ。ようやくジャン・バルジャンが登場。ここから怒涛の物語が始まる。哀れなファンチーヌとの出会い〜そして宿敵ジャヴェール登場!「2」へ!! 2020/09/03
扉のこちら側
108
初読。2015年1112冊め。【68/G1000】『天国にとどまって悪魔となるか、地獄に戻って天使となるか』子どもの頃に読んだものの、細部の記憶がほとんどないので初読として。司教の教えにより改心し市長にまでなったジャンが、自分と間違われて囚われた男の冤罪を晴らすために名乗り出てしまう。ジャンといいファンチーヌといい、貧困により堕ちていく存在があることは、残念ながらいつの世もかわらない。【第6回G1000チャレンジ】【新潮文庫の100冊1996】2015/11/03
ヴェルナーの日記
88
ユゴーの大作、世界的名作の物語。『レ・ミゼラブル』とは悲惨な人々とか、哀れな人々という意味である。本作では一応ジャン・ヴァルジャンが主役とされているが、それは登場する回数が多いだけであり、作者の意図は題名のごとく、哀れな人々を描きだそうとしているのではないだろうか?なぜなら、冠詞「レ」(複数を表す)であり、「ラ」(単数を表す)ではないから。第1巻はジャン・ヴァルジャンを主として、ビヤンヴニュ司教閣下との運命的な出会いを重点的に、コルセットの母ファンチーヌとの出会い。シャヴェール警部との確執が描かれている。2014/12/02