出版社内容情報
芥川賞受賞の翌年に心身を病んだ作家兼医師が、五十歳で山登りを始めた。浅間山から南北アルプスの高みまで、作家が山で考えたこと。「山と渓谷」で共感を得た、芥川賞作家の山紀行
芥川賞受賞の翌年に心身を病んだ作家兼医師が、五十歳で山登りを始めた。浅間山から南北アルプスの高みまで、作家が山で考えたこと。南木 佳士[ナギ ケイシ]
内容説明
芥川賞受賞の翌年に心身を病んだ作家は、50歳になり山歩きを始めた。樹木の香りに精神が安定し、歩くことでからだ本来の働きに目覚めた作家は、蓼科山、浅間山から、ついには槍ヶ岳、白峰三山といった南北アルプスの高峰を若者に混じり踏破する。人生を重ねた者が己のからだとこころで書いた異色の紀行文集。
目次
ためらいの笠ヶ岳から槍ヶ岳
何度でも浅間山
つれられて白峰三山
山を下りてから
著者等紹介
南木佳士[ナギケイシ]
1951年、浅間山北麓の群馬県嬬恋村に生れる。現在、長野県佐久市に住む。総合病院に内科医として勤めつつ、創作活動を続ける。81年、難民医療日本チームに加わり、タイ・カンボジア国境に赴き、同地で『破水』の第53回文學界新人賞受賞を知る。89年『ダイヤモンドダスト』で第100回芥川賞受賞。08年『草すべり その他の短篇』で第36回泉鏡花文学賞、翌09年、第59回芸術選奨文部科学大臣賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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gonta19
116
2016/5/19 メトロ書店御影クラッセ店にて購入。 2018/4/9〜4/11 初めて読む作家さん。本屋で発見して購入。歳をとってからの登山。年甲斐もなく重いテントを背負っての長距離山行など、あなたは私か、っていうくらい重なった。機会があれば、小説も読んでみたい。2018/04/11
のぶ
65
芥川賞受賞の翌年に心身を病んだ著者が、50歳で山歩きを始めたという山岳紀行。4つの山行が紹介されているが、読んでみてこれは本物の登山記だと思った。今までいくつか、この手の山行記を読んでいるが、本当に山に登って書いたのだろうか?と疑問を抱くようなものもあった。本書の中の一つ、槍ヶ岳は自分が実際に登った経験もあり、自分の感じた情景や苦労した場所がほとんど同じだった。山には心身を癒してくれる効果があり楽しかった。同様の山行記が出たらまた読んでみたい。2016/07/05
♡ぷらだ♡お休み中😌🌃💤
64
「山」と言う文字が目に入ると心がときめく。それに、表紙のかわいらしいコマクサの写真。もう読むしかない。著者は、医者であり芥川賞作家でもある。そして、うつ病やパニック障害を患い、それを癒やすために50歳になってから山歩きをはじめた南木さん。信州の山の自然をリアルに描写。また、体の感覚を捉えた「大腿四頭筋をはじめとした大きな筋肉の興奮がおさまっていない」「大臀筋の伸展感覚」など医者ならではの表現もおもしろい。穏やかな気持ちになれる1冊。2019/12/29
はる
49
南木さんの登山紀行。心身を病んだリハビリから50歳から始めた山登り。身近な山から無理をせず。淡々とした文章で素直な気持ちが綴られます。同郷ということもあり、南木さんは思い入れのある作家さん。「阿弥陀堂だより」「ダイヤモンドダスト」は私にとって特別な作品。彼の上州気質や自然の描き方は私にとって近しいものを感じます。自分も山に行ってみたくなりました。2016/09/15
翔亀
49
そのものずばりの山登りの記録。登山家が生死を賭して挑むようなものではないが、小説家が片手間に記したのものでもない。浅間山や北八ヶ岳や槍ヶ岳や白峰三山の、初級クラスからテント泊といえどもせいぜい中級クラスの一般コースだが(私のレベルからはかなり上だけど)、登山の楽しみというか、なぜ止むに止まれず行ってしまうのかという登山の本質を語って余りある。高山植物を愛で針葉樹の香りを楽しむ山行でもあるが、ハードな山行で気力体力の限界で「わたし」の輪郭がおぼろげになり無になっていく感覚、下界に戻ってきても足が地について↓2016/08/27