出版社内容情報
オリンピック前夜の熱を孕んだ昭和三十八年東京。連続爆弾魔を追う記者・村野に女子高生殺しの嫌疑が。孤独なトップ屋の魂の遍歴。
本当にお前は何もかも欲しい男なんだな──
オリンピック前夜の熱を孕んだ昭和三十八年東京。連続爆弾魔を追う記者・村野に女子高生殺しの嫌疑が。孤独なトップ屋の魂の遍歴。
内容説明
東京オリンピック前夜の熱気を孕んだ昭和38年9月、地下鉄爆破に遭遇した週刊誌記者・村野は連続爆弾魔・草加次郎事件を取材するうちに、女子高生殺しの容疑者に。高度成長の歪みを抱えたまま変貌する東京を舞台に、村野が炙り出したおぞましい真実とは。孤独なトップ屋の魂の遍歴を描いた傑作ミステリー。
著者等紹介
桐野夏生[キリノナツオ]
1951年、金沢生まれ。成蹊大学法学部卒業。93年「顔に降りかかる雨」で江戸川乱歩賞受賞。99年『柔らかな頬』で直木賞、2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞、04年『残虐記』で柴田錬三郎賞、05年『魂萌え!』で婦人公論文芸賞、08年『東京島』で谷崎潤一郎賞、09年『女神記』で紫式部文学賞、『ナニカアル』で10年、11年に島清恋愛文学賞と読売文学賞の二賞を受賞。1998年に日本推理作家協会賞を受賞した『OUT』で、2004年エドガー賞(Mystery Writers of America主催)の候補となった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
相田うえお
114
★★★☆☆19102 2020年は東京オリンピックですね。本作品は前回の東京オリンピックちょっと前の時代設定。でも話は五輪とは殆ど関係ありません。地下鉄爆破事件に遭遇したトップ屋(雑誌の巻頭記事を依頼されて書くフリーライター)の男性が主人公。彼は警察から殺人事件の容疑をかけられ、自ら身の潔白を証明するために、さらには取材も兼ねて情報を集めていくのですが、次第に色々な事が明らかに。●豆腐にネギと醤油をかけてご飯にのせたら当方的には大満足のご馳走だ!●ご飯に味噌汁をぶっ掛けたら当方的にはプチ満足のご馳走だ!2019/11/14
Tsuyoshi
54
東京オリンピックを間近に控えた東京で、トップ屋とよばれる週刊誌の記者だった村野善三が「草加次郎」を名乗る人物による連続爆弾事件、さらに自身が被疑者の容疑をかけられた女子高生殺害事件の内偵を通して探偵へと転職を図るまでの話。当時のジャーナリズムやオリンピック前にて熱気に溢れた社会情勢など巧みな描写と分かりやすい語り口で読みやすかった。2017/09/18
キムトモ
46
女探偵ミロの義父村善が探偵になるまでのお話。'64東京オリンピック前夜が舞台。実在の事件との絡み、現在世間を騒がす週刊誌の草創期、戦後の文化人達(葉山)の風景…ミロ父が奔走した時代は魅力的でした。これも筆者の筆力によるものでしょう〜村野家を取り巻く人達が皆さん魅力的です。(ノ-_-)ノ~┻━┻「かわいいお子さんですね。名前は何ていうんですか」「ミロといいます」2017/05/31
シキモリ
29
本編の私立探偵村野ミロシリーズ自体を未読だが、スピンオフである今作はそれでも存分に楽しめた。五輪開催を目前に控えた高度成長期の東京を舞台に連続爆弾魔と女子高生殺人事件を週刊誌記者が追いかけるという設定だけでも面白いはずなのに、主人公の村善をはじめとした魅力的な登場人物たちが作品を大いに盛り上げる。各局記者同士の戦友と呼ぶに相応しい絆が事件の真相を炙り出す様に胸が踊り、女性たちはそんな男共を手玉に取り、時には彼らに翻弄され、物語に彩りを添える。熱気と共に加速し続ける昭和という時代の光と陰を描いた骨太な作品。2018/04/06
カブ
28
昭和38年、東京オリンピックの前年の話。当時の喧騒、匂いが蘇ってくるような内容に引き込まれた。良くも悪くもエネルギーを溜め込んだような時代だったのか。読み終わってホッとした。2016/05/11