出版社内容情報
きな臭い幕末の京都で、古道具屋を守る夫婦愛は今日も明日も変わらない。著者が最も愛着を抱いていたシリーズ、第四弾にして最終巻。
夫婦愛と名品は時代に負けない!
きな臭い幕末の京都で、古道具屋を守る夫婦愛は今日も明日も変わらない。著者が最も愛着を抱いていたシリーズ、第四弾にして最終巻。
内容説明
幕末の京都、真之介とゆずの若夫婦が営む道具屋「とびきり屋」。新撰組や長州藩も出入りしきな臭い世相と無縁ではいられない。が、時代を経てよさが増す道具、それを見極める目を武器に、はんなりと難事をかわしていく二人。雇い人達にも春が訪れる。著者逝去により図らずも最終巻となってしまった、シリーズ第四弾。
著者等紹介
山本兼一[ヤマモトケンイチ]
1956年、京都市生まれ。同志社大学文学部美学及び芸術学専攻卒業。99年「弾正の鷹」で小説NON短編時代小説賞佳作。2004年『火天の城』で第11回松本清張賞を受賞。09年『利休にたずねよ』で第140回直木賞受賞。14年2月逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐々陽太朗(K.Tsubota)
120
山本氏は癌と闘いながらこのシリーズを書き続けていらっしゃったとのこと。「利休の茶杓」で本シリーズを締めくくろうとは考えていなかっただろう。このあと不穏な政情に揺れる幕末の京都と、そこで道具屋を営む若夫婦の姿をどのように描こうと構想していらっしゃったのか。激動の世にあってもおそらくこの夫婦は幸せに暮らし、商売も繁盛したに違いないのだが、それをどこまで書こうとなさったのか。もしもお元気で生きていらっしゃれば、我々はまだまだ長く本シリーズを、そして微笑ましい夫婦の姿を楽しめたに違いないのだ。誠に残念なことです。2016/06/04
ふじさん
78
山本兼一の作品を読むのは、「利休にたずねよ」以来である。幕末の京都を舞台に、真之介とゆずの若夫婦が営む古道具屋「とびきり屋」が主人公の作品。シリーズ第四作目、著者逝去による最終巻となった作品。幕末の混乱期の京都を舞台に、芹沢鴨等実在の人物が出て来たり、茶器等の古道具の世界が丁寧に描かれて興味深く面白かった。小さい店ながら、しっかりした目利きで茶器や茶碗の商いに情熱を傾け、店を盛り立てる夫婦の健気さや夫婦愛に心が癒された。 2021/05/14
じいじ
72
大好きなこのシリーズは、作者・山本兼一氏の急逝で、この4作目で終わってしまったのは、誠に残念です。幕末の京都で、二人が営む道具屋「とびきり屋」を舞台にした、読んでいて心が和む物語。何をおいても若さ溢れる、ゆずと真之介の二人をチカラいっぱい応援したくなります。若夫婦の人柄の良さが、和気あいあいの雰囲気つくり、働く若者たちのヤル気で店は満ち溢れています。このシリーズは、もっともっと読みたかった。2024/04/07
ユメ
40
京の情勢はますますきな臭くなってゆくが、真之介とゆずは動じない。蛤御門の変が勃発しても、平気で御所まで見に行ってしまう。もっとも、そんな野次馬は真之介に限らない。京雀のたくましさを実感させられた。『とびきり屋見立て帖』シリーズは本書が最終巻。都ではこの先、新選組や坂本龍馬、とびきり屋と縁のある人物が深く関わる事件が次々起こる……本当に、物語の続きが読みたかった。つくづく著者の急逝が惜しまれる。きっとどんな展開を迎えていたとしても、真之介とゆずは激動の幕末をしっかり生き抜いていたに違いないと信じている。2019/05/13
はにこ
30
とうとう最終巻になってしまった。信頼を得て商いがだんだん大きくなる。店も人も成長する。ゆずの親も心なしか優しくなった気が。兄貴は相変わらずアホだけど。。何より芹沢が横暴すぎる。こんな関係にジリジリしたり、時代の道具の知識を楽しみ、幕末という不安定な時代を感じることができるとびきり屋シリーズがここで終わってしまったことが残念でならない。奥様の追悼エッセイも刺さった。山本さん、素敵なシリーズを世の中に送り出してくれてありがとう。2021/11/07