出版社内容情報
千春の兄・麻太郎の友人・清野凛太郎は、御所に仕える楽人であった。千春と凜太郎は互いに思いを募らせていく。表題作ほか全七篇。
るいの娘・千春に春の予感……。
子供たちの成長がまぶしい「明治のかわせみ」第4弾!
千春の兄・麻太郎のイギリス留学時代の友人・清野凛太郎が帰国、「かわせみ」に姿を現わす。千春の琴の音をきっかけに、二人は互いに思いを募らせていく。凜太郎は御所に仕える楽人であった。身辺あわただしい中、凜太郎は侯爵家の園遊会で、るいと千春、麻太郎に見守られ、舞楽「蘭陵王」を見事に舞ってみせた。
「蘭陵王」とは、清国の南北朝時代、才知武勇にすぐれ美男の誉れ高い北斉の蘭陵の王子が、戦の時は龍の仮面をつけて優しい美貌を隠して挑んだという、その逸話にちなんだ雅楽。華やかな中にも哀愁の漂う曲である。
表題作ほか、「イギリスから来た娘」「麻太郎の友人」「姨捨山幻想」「西から来た母娘」「殺人鬼」「松前屋の事件」の全7篇を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
41
子供だと思っていた世代も恋をしたり、子供を授かったりする世代になったのですね。千晴には春が訪れそうでほっこりです。2023/05/23
jima
21
殺人事件の章が多い中、「姥捨山幻想」が良かった。4人の子供を亡くした老婆が信州から東京見物に。犬張子4つを土産に帰る。「老いに逆らわず、老いに従いつつ前進する。」2016/03/08
トモココ
9
ますます、東吾さんに似てくる麻太郎さん。東吾さんは、きっと生きていますよね。るいさんのためにも、「かわせみ」に帰ってきてほしいです。明治の風景も素敵で、安定の読後感です。千春さん、お幸せに‼2015/11/22
こまt
8
かわせみの人たちが麻太郎に東吾の面影を重ねるたびにうるっとした。時代は流れているけれど、かわせみの穏やかさは変わらない。人の優しさも変わらない。麻太郎が幸せになるまで読み続けたい。東吾もどこかで生きているんじゃないかと思いながら。2015/10/11
よし蔵
6
だいぶ久しぶりに読んだこの世界。東吾さんがいなくなってから10年以上経っているのにまた逢えるような気がして度々考えてしまう、なんて存在感のある人なんだろう。それにしても源太郎、花代、千春まで結婚して子供ができる年頃になって感慨深い。いつからか血なまぐさい事件よりキャラクターたちの成長だけを見守ってます。麻太郎の恋愛話もそろそろ読みたい。2016/12/03