出版社内容情報
余命僅かの宣告を受けた殺人願望を秘めた男と殺人犯逮捕に執念を燃やす刑事。死を恐れぬ者たちが最期に臨む戦慄の光景とは……。
死へのカウントダウンは彼らの運命を――
余命僅かの宣告を受けた殺人願望を秘めた男と殺人犯逮捕に執念を燃やす刑事。死を恐れぬ者たちが最期に臨む戦慄の光景とは……。
内容説明
若くしてデイトレードで成功しながら、自身に秘められた女性への殺人衝動に悩む榊信一。ある日、余命僅かと宣告され、欲望に忠実に生きることを決意する。それは連続殺人の始まりだった。元恋人の澄乃との皮肉な再会。犯人逮捕に執念を燃やす刑事・蒼井にも同じ病が襲いかかり、事件の展開は衝撃の結末を―。
著者等紹介
薬丸岳[ヤクマルガク]
1969年兵庫県生まれ。2005年『天使のナイフ』で第51回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
351
薬丸さんというのは、プロットの作家さんだなぁ、と思う。ツカミからグイグイ読者を引っ張っていくので、大変読みやすい。今回はその上、わたしの大好物「過去の秘密」という飴玉を途中何度かしゃぶらされたので、ラストまで一気に行った。このプロットを、文章のうまい作家さんの筆で読んでみたいなぁ、と(読み終わった今)思う。2018/02/05
三代目 びあだいまおう
330
自身に秘められた殺人衝動、取り憑かれたように欲望を爆発させる連続殺人鬼。追う刑事。極端なまでに相反する行動をとる2人の共通点は【余命僅か】余命宣告を引鉄に最後の命を燃やす主人公の闇と影。それぞれの過去に紐づかれた、命を賭して成し遂げたい死命。命を懸けたその真剣さに読み手の眉間は深く皺寄る。行いの善悪を基軸に周囲の人間関係が織りなす厚みは流石の薬丸作品!最後に吐いた小さな嘘に切なさが漂う。一度しかない人生、せめて周囲に迷惑をかけずに笑って死ねる人生がいいなぁと、後半を細々生きる私のささやかな希望です‼️🙇2021/04/13
hit4papa
135
性的欲求が高まると殺人衝動が起こる男は、余命宣告を契機に欲望を開放する。連続殺人を犯す男を追うは、同じく余命宣告された刑事。という、現実的かどうかは置いておいて、出だしは、グッとくる設定です。最初から落としどころは想像がつき、想定の範囲内に収まってしまうのですが、飽きさせずに上手くラストまで引っ張っていってくれます。著者の作品に期待する運命が交差するようなプロットはいまひとつでしょうか。家族の再生の物語にしてしまうのは、できすぎかもしれませんね。刑事の勘という昭和なモチベーションはちといただけません。2018/02/04
🐾Yoko Omoto🐾
131
連続殺人犯の男とそれを追う刑事。奇しくも二人は余命幾ばくもない病魔に冒されていた。命果てる前に二人がそれぞれこの事件に、また愛する者に、果ては自分自身の過去とこれまでの生き方にどう決着をつけるのか、このページ数を一気に読ませるパワーはデビュー作から変わらず素晴らしい。だが過去作品に比べミステリにしては謎が弱く、ヒューマンサスペンスにしてはテーマがやや希薄で深みに欠ける中途半端な内容に感じられた。謎含めたメインである「榊」にまるで理解できる部分がなく、動機に纏わる過去も最近よく見るパターンで新鮮味が少ない。2014/12/31
小説を最初に書いた人にありがとう
111
薬丸作品は少年犯罪をテーマにした社会派ミステリーが多かったイメージがあるが、今作は死をテーマに更に重い作品だった。癌に侵された二人が主人公。一人は女性を殺したい衝動が抑えられない榊、片や正義を貫く刑事の蒼井、二人が交わりながら事件が進んでいく展開は一気読み必至。死を迎えるとき、後ろ暗く闇の中を生きてきた者と正しく明るい道を生きてきた人間ではその瞬間の心の持ち方が全く違うんだろうと思わせる作品。2020/03/04