出版社内容情報
中国古代、「墨守」という言葉を生んだ謎の集団・墨家。たった一人で大軍勢から城を守った男を、静謐な筆致で描いた鬼才の初期傑作。
漫画や映画にもなった伝説の傑作。復刊
中国古代、「墨守」という言葉を生んだ謎の集団・墨家。たった一人で大軍勢から城を守った男を、静謐な筆致で描いた鬼才の初期傑作。
内容説明
大国が覇を競う古代の中国。平和を説き、戦争で助けを求められればあらゆる手段で依頼者を守るスペシャリストの集団、墨子教団がいた。いま小城が呑まれようとするなか、教団の俊英・革離はひとり救援に駆けつける。二万の軍勢に囲まれた町を彼は守り通せるか?映画化もされた中島敦記念賞受賞の傑作小説!
著者等紹介
酒見賢一[サケミケンイチ]
福岡県生まれ。愛知大学卒業。1989(平成元)年「後宮小説」で第1回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。92年「墨攻」他で中島敦記念賞を、2000年「周公旦」で、新田次郎文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
三代目 びあだいまおう
292
時は紀元前五世紀頃、隣国中国は何世紀にも亘り各国が勢力を争いしのぎを削っていた。本作もまさにその春秋戦国時代の物語。孔子や老子等と並ぶ思想家の墨子、戦い方の真髄を極めた墨子教団の痛快な籠城戦術が面白い!日本がまだ縄文の時代、創意と工夫の賜物である武器や兵器の数々!何より、墨家傑出の精鋭である革離の縦横無尽の活躍は刮目である。弱小国の弱小兵が籠城する小城を守るべく、墨家から単独で向かう革離。その戦略基盤と人身掌握は現代にも通ずる。それにしても、真に恐れるべきは有能な敵でなく無能な身内であると痛感した‼️🙇2020/06/15
ehirano1
89
「革離は葬式を禁じる理由が、実は戦闘が進み食糧が欠乏した時には人肉を食べなければならないためであることは言わない(p47)」。これこそが戦争(飢饉を含みますね)の現実であると思い知らされると同時に、リーダーというのは非情さが求められることを再認識させれました。2022/08/21
ehirano1
85
読書メーターを通して知ることとなった本書。少ない資料を基にここまで書き上げてくれた著者に感謝したいと思います。忽然と消えてしまったからこそ尚一層その興味が尽きません。解説も奮っていたので、願わくば300ページくらいは書いてほしかった・・・。2022/05/03
ehirano1
69
「革離は一つ学んで、にやりと笑った。革離は墨子教団に属し、天志のもとに生きる男であったから死を恐れる必要はなかった(p139)」。なるほど、これが墨家かと思いました。戦国時代を生き延びる1つの手段ではないかと思いました。2024/04/03
ehirano1
69
「革離は議論する気はない。ここは呼吸である(p35)」。後半のフレーズにハッとしました。なるほど「呼吸」と来たか!これは使えるゾ、と思いました。2022/11/30