出版社内容情報
下町の小さなハンバーグ店に集うおかしくも愛しき人たち。つらいことがあっても、生きているって素晴らしい! と実感できる感動作。
下町の小さなステーキ&ハンバーグのお店「ジュージュー」を舞台に繰り広げられる、おかしくも切ない物語。美津子は両親から受け継いだお店を、遠縁で元恋人でもある進一と共に切り盛りしている。常連のお客さんたちは、みんなどこかに欠落を抱えながらも、背一杯今日を生きている人ばかり。世の中はどうにもならないことばかり。でも、おいしいハンバーグを食べれば、つらいことがあっても元気を取り戻せる! 生きることの喜びをギュッと閉じ込めた傑作。
内容説明
美津子は両親から受け継いだステーキ&ハンバーグ店「ジュージュー」を、遠縁で元恋人でもある進一と共に切り盛りしている。「自分の前世が見える」という進一の妻・夕子さんはじめ、まわりに集うのは、ちょっと奇妙で愛すべき面々ばかり。秘伝の味にこめられた魔法の力とは?生きることのかけがえのなさを描いた感動作。
著者等紹介
よしもとばなな[ヨシモトバナナ]
1964年、東京生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。87年、「キッチン」で海燕新人文学賞、88年『キッチン』で泉鏡花文学賞、89年、『TUGUMI』で山本周五郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
360
タイトルは、主人公の美津子の父と養子の進一が営むステーキ&ハンバーグレストランの店名。本作では一貫してリアリズムに徹している。作中で、ちょっと風変わりなのは、ご近所で幽霊と呼ばれる儚げな美女、夕子さんくらい。「あとがき」でばななさんが「私たちの自由は、あらゆる意味で奴隷の自由なのだ」と書いている。私たちは生まれる場所や境遇を選べない。そこに生まれ落ちたら、その中で精いっぱい生きるしかないのだ。小説は、それを最大限に肯定する。ばななファンとしては、何か物足りない感がしなくもない。こんなに保守化していいのか。2018/07/30
しんごろ
161
ステーキ&ハンバーグ店『ジュージュー』に集う人たちの話!てっきり食べ物に関する話かなと思ったら、ちょこっとせつなく悲しい中で、生きることってなんだろうねと問うような作品でした。せつなく悲しいのに、なぜかほっこりな感じ、愛しさ、優しさがにじみ出る、よしもとばななワールドが短い物語に充分に炸裂したと思います(^^)夕子さんの背中の傷が気になります(^^;)2016/10/15
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
135
ほのぼのと物語が進んでいくのに悲しくて、とても愛しい。ステーキとハンバーグの店の三代目を継いだ女性。『永遠の看板娘』だったママは6年前店で倒れて逝ってしまった。以来「店と一体化したアンドロイド」のように、元恋人の相棒と共に肉を焼き続けている。「命のエッセンスは死んだ肉からは消えている。しかしそのかすかな力の匂いだけでも得たいから、人間は肉を食べるのだ」という信念を持って。人生にはどうにもならない事もある。でも一生懸命生きる事は無意味ではない。料理の場面はあまりないのに食欲がそそられる。生きるとは食べる事。2016/01/03
優希
88
文庫で再読です、両親から受け継いた店「ジュージュー」をめぐる人たちの空気があたたかく感じました。店を切り盛りする美津子と進一。夕子さんなどのまわりに集う人たちも素敵で、日々生きることの魔法をかけられたような気分になりました。生活していくことは当たり前のことではなく、かけがえのない宝物であるということを教えられます。面白かったです。2018/05/04
ゆのん
64
この本もまた素敵な本だ。そして人間て悲しい生き物で、素敵な生き物でもあるんだなぁ。毎日、仕事して家の事をやってと忙しく気がつくとあっという間に一年が終わっている。みんなに同じ24時間、365日なのに私の時間は早く過ぎていく感じがする。そのくせ振り返ると大した事していなかったり。時間がゆっくり流れていくように自分の心を労っていけたらいいなぁとこの本を読んで思った。2018/04/07
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