文春文庫<br> 聖夜

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文春文庫
聖夜

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  • サイズ 文庫判/ページ数 235p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167857028
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

“俺は記憶のないころから鍵盤に触れてきた”。聖書に噛みつき、ロックに心奪われ、メシアンの難曲と格闘する眩しい少年期の終わり。

この心の震えは、祈りに似ている

“俺は記憶のないころから鍵盤に触れてきた”。聖書に噛みつき、ロックに心奪われ、メシアンの難曲と格闘する眩しい少年期の終わり。

内容説明

学校と音楽をモチーフに少年少女の揺れ動く心を瑞々しく描いたSchool and Musicシリーズ第二弾。物心つく前から教会のオルガンに触れていた18歳の一哉は、幼い自分を捨てた母への思いと父への反発から、屈折した日々を送っていた。難解なメシアンのオルガン曲と格闘しながら夏が過ぎ、そして聖夜―

著者等紹介

佐藤多佳子[サトウタカコ]
1962年、東京都生まれ。青山学院大学文学部卒業。89年「サマータイム」で月刊MOE童話大賞受賞。『イグアナくんのおじゃまな毎日』で98年度日本児童文学者協会賞、路傍の石文学賞を受賞。『一瞬の風になれ』で2007年に本屋大賞、吉川英治文学新人賞を、2011年に『聖夜』で小学館児童出版文化賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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SJW

175
オルガン奏者の母と牧師の父を持つ18歳の一哉は小さな頃からオルガンに触れていて、高校の礼拝前後のオルガン奏者を勤めていた。自分と父を捨てた母への思いと、牧師の父への反発で屈折した日々を送っていたが、クリスマスコンサートに向けてメシアンのオルガン曲の練習が進むにつれて、仲間と心が徐々に通じていく青春小説。牧師の家庭での話や学校の礼拝での話が多かったので、自分が通う教会と比較してとてもイメージしやすかった。おかげで来月の教会でのクリスマスコンサートやイブ礼拝が楽しみ。しかし両親の離婚が与える子供への2018/11/23

dr2006

66
音楽系の部活動を描く同作者の短編集「第二音楽室」とセットの長編。本作はミッション系の高校にあるオルガン部を描く。主人公の一哉は父が牧師で自宅が教会だ。オルガン奏者の母の元で幼少からオルガンに触れ、生活の中に常に演奏があった。そんな環境で育った一哉の様々なレベルの部員に対する冷めた思いや、壊れた家族との関係や自我の形成(将来)に思い悩む思春期の葛藤がとてもリアルだった。CDがこの世に出る前の時代も今も、恋人や家族との別れがやってくる時の不穏な感覚は同じで、その前兆に気付くものだ。心理描写に深みがある秀作。2022/07/29

kana

54
「第二音楽室」に続き青春と音楽をテーマにしたシリーズなのですがこれが本当に素晴らしい。今度の楽器はオルガン!これほどまでに魅力的に思春期を描き出し、すっかり大人になった読者を“あの頃”に連れ戻すような著者はなかなかいないと思います。鬱屈した一哉が母との別離の思い出を象徴する難曲に挑み、自らの心を解き放っていく様子に、時折胸をきゅんとさせつつ、終始わくわくが止まらない。オルガンはピアノよりも原始的な楽器だと下に見てた自分が恥ずかしい。風に呼応するパイプオルガンの厳粛で壮大な響きを私も生で聴いてみたいなぁ。2014/10/31

ユメ

51
前作『第二音楽室』で描かれた音符が空気の揺らぎという印象なら、今作の音符は光の輝き。限りなく透き通った光が、音楽に合わせて零れ出てくる。主人公・一哉の鬱屈した感情が自分と重なってもなお、この美しくたゆたうきらめきの消えることがなかったのは、やはり、この物語を通奏低音のように流れるオルガンの調べゆえだろうか。一哉が、思わず祈りを捧げたくなるような心震わす美しい音を耳にして、「もし神が存在するならばこの音楽に宿るだろう」と感じる瞬間があまりに心に沁み入って、こちらまで敬虔な気持ちになった。→続2014/10/26

ゆきちん

42
キリスト教系の高校に通う一哉は、牧師の父と音楽家の母を持つサラブレッドのオルガニスト。学校でオルガン部の部長と聖書同好会に入っているが、キリスト教徒ではない。幼い頃母が出て行ってから、音楽とまっすぐ向き合えないでいる…タイトルからこの時期手に取ったけど、どうも二作目だったらしい。全然問題なく読めました。クライマックスのクリスマスコンサートに向けて家族と青春のお話。母からの手紙が明らかにされてたらきっと泣いていた事でしょう。クリスマスにタイムリーでしたー2016/12/23

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