出版社内容情報
年間32000人にも及ぶ無縁死の急増は、血縁や地縁、社縁が崩壊した現代社会への警鐘なのか──。社会現象になった番組を文庫化。
内容説明
身元不明で「行旅死亡人」となった男の意外な人生、家族に引き取りを拒否された遺体の行方、孤独死の現場を整理する「特殊清掃業者」。年間三万二千件にも及ぶ無縁死の周辺を丹念に取材し、血縁、地縁、社縁が崩壊した現代社会へ警鐘を鳴らす。菊池寛賞受賞のNHKスペシャルに「消えた老人たち」など新章を加え、完全文庫化。
目次
序章 “ひとりぼっち”が増え続ける日本
第1章 追跡「行旅死亡人」―わずか数行にまとめられた人生
第2章 薄れる家族の絆―「引き取り拒否」の遺体の行方
第3章 単身化の時代―「生涯未婚」の急増
第4章 社縁が切れた後に―疑似家族に頼る人々1
第5章 “おひとりさま”の女性たち―疑似家族に頼る人々2
第6章 若い世代に広がる“無縁死”の恐怖―ツイッターでつぶやく将来の不安
第7章 絆を取り戻すために―二度の人生を生きた男
第8章 消えた老人たち―相次ぐ高齢者の所在不明
第9章 無縁社会から結縁社会へ―新しい「つながり」を求めて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
258
本書が出版されてから10年経つが、状況は変わらず本当に虚しいなと思う。みんな誰かに迷惑をかけて生きてるんだし、そんな遠慮しなくてもと思うが、無縁死というのはホンの違いでなるものと思う。2020/09/15
aika
50
「無縁死3万2千人」。高校生の時にみた、NHKスペシャルの衝撃は今でも胸に重く残っています。家族がいてもいなくても、誰からも看取られずに、孤独に亡くなっていく無縁死。官報の行旅死亡人の欄に、たった数行で無機質にまとめられた人生。人間の尊厳は、果たしてどこへ行ったのか、社会構造の欺瞞。その一方で、生き方の多様性を認め寛容でありながらも、「誰も置き去りにしない」社会を、私たちの手で作ることができるのではないかという希望も、みせてくれました。私も、目の前にいる人を大切にしていこうと思いました。2017/09/30
ヨクト
31
高齢者の孤独死。死後数日経ってから発見され、その遺骨の受け取り手もおらず、消えていく老人たち。取材班との会話の中でわかってきたのは、強い孤独を感じながらも周りに「迷惑をかけたくない」という感情。そして、これは今の高齢者だけに言えることだけでなく、今後の世代には生涯未婚者の増加に伴う孤独死予備軍の増加が考えられ、他人事ではないのだ。沢山の孤独がつながりあって、孤独がなくなるようなそんなセーフティネットの改善対策が社会には求められる。2015/10/07
壱萬参仟縁
31
文庫版では、第8、9章は単行本(既読)に 加筆されたようなので、 そこだけに注目する。 第8章では、 板倉弘政氏が、消えた老人たちを取り上げる。 不幸が重なるヒロシさんの事例。 介護と看病の母が亡くなり、 妹も心臓病で亡くなる。 残るは父と彼だけ。 父は認知症に。 40歳を過ぎ、短期間のアルバイト しか見つからない(305頁) のは今も不変。 2014/05/11
kinkin
18
これから真剣に考えていかなければならない問題・・・・2013/11/04