出版社内容情報
全国を放浪し、死者を悼む旅を続ける坂築静人。彼を巡り、夫を殺した女、人間不信の雑誌記者、末期癌の母らのドラマが繰り広げられる。
内容説明
「この方は生前、誰を愛し、誰に愛されたでしょうか?どんなことで感謝されたことがあったでしょうか?」。静人の問いかけは彼を巡る人々を変えていく。家族との確執、死別の葛藤、自らを縛りつける“亡霊”との対決、思いがけぬ愛。そして死の枕辺で、新たな命が…。静かな感動が心に満ちるラスト。
著者等紹介
天童荒太[テンドウアラタ]
1960年、愛媛県生まれ。86年に「白の家族」で第13回野性時代新人文学賞を受賞。93年には『孤独の歌声』が第6回日本推理サスペンス大賞優秀作となる。また96年に『家族狩り』で第9回山本周五郎賞を受賞。2000年ベストセラーとなった『永遠の仔』で第53回日本推理作家協会賞を受賞。09年には『悼む人』で第140回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
266
上巻を読み終わった後、次の展開に胸を躍らせたが..正直読後感はあまりよくない。いったいこの作品で天童荒太は何を描こうとしたのだろうか? 罪を問うのではなく、あなたは誰を愛し、誰に愛されたのか・・死を悼む人はそのまわりの人を変えていき..消化不良のような終わり方であった、と思う。2011/05/22
kaizen@名古屋de朝活読書会
190
直木賞】死亡現場で悼む人。誰が、何の目的で悼むのか。人の生死をゆっくりと描写する。推理小説のようでもあり、家族小説のようでもある。ガンに関する参考文献を多数記載している。2014/03/16
🐾Yoko Omoto🐾
155
静人がこの旅を始めた理由がわかった時、私はやはり彼の行動に共感することはできないと思った。何故なら私は過去にそれを一度も考えたことがないからだ。彼は繊細で、自責の念からの強迫観念めいた思いが死者を悼む行為のきっかけとなった。そこを否定はしないし、人を悼むことで救われているのであればそれもまた良し。だが、他人の死を悼む前にもっと自分自身の家族を大切にしなければならないのではないのかという思いが強く残ってしまった。また“忘れることがある”というのと“覚えていない”というのとは別物ではないのだろうか。→2015/02/19
ユザキ部長
124
悼む人は究極的に不器用なんだと思った。人は残酷なまでに忘れる生き物。記憶の新陳代謝を高めないと生きれない。不器用と共に神様から選ばれちゃったんだろうな。きっと。2018/04/16
にいにい
116
静人日記を先に読んでから、上下巻を連続して読破。 人って、いつまでも覚えていて貰いたいのかなぁ~ 自己満足追求の物語だけど、所々に共感もおぼえる 悲しさ、侘しさ、人間、生物を再考させられた。2013/10/05