出版社内容情報
飼い犬の引き起こした事故で死んだ少年、だが本当は……。悲しみの連鎖は驚きの真相へ。道尾ファン必読の傑作青春ミステリー。
内容説明
秋内、京也、ひろ子、智佳たち大学生4人の平凡な夏は、まだ幼い友・陽介の死で破られた。飼い犬に引きずられての事故。だが、現場での友人の不可解な言動に疑問を感じた秋内は動物生態学に詳しい間宮助教授に相談に行く。そして予想不可能の結末が…。青春の滑稽さ、悲しみを鮮やかに切り取った、俊英の傑作ミステリー。
著者等紹介
道尾秀介[ミチオシュウスケ]
1975年生まれ。2004年『背の眼』で第5回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞しデビュー。07年『シャドウ』で第7回本格ミステリ大賞を受賞。09年『カラスの親指』で第62回日本推理作家協会賞長編及び連作短編集部門を受賞。10年『龍神の雨』で第12回大藪春彦賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょこまーぶる
479
最期までかなり楽しく読めて、最期は「そうなんだ」と納得してしまいました。4人の若者のキャラクターが個性的でその関係が崩れ無ければいいなと思いながら読みすすめました。で、登場人物では、間宮先生がお気に入りとなり、小動物に溢れている自宅にお邪魔して動物のうんちくを聴いてみたい想いが募りましたね。それにしても、動物の生態を把握していたら、いろいろな事件の犯人逮捕に貢献できるはずである。意外と彼らは冷静に現場を見ているはずだから・・・。2013/08/28
ehirano1
461
散々焦らされた挙句、やっと急展開かと思ったら想像の斜め上!相も変わらずゴロンゴロンと回されることさえ楽しく感じます。道尾作品に中毒かもしれない・・・・・。2019/07/14
夢追人009
441
道尾秀介さんの6冊目となる青春ミステリーの力作です。本書はメインの事件の謎解きは特筆すべきものはありませんが、冒頭から作者が仕掛けた罠が面白く終盤で隠された意味がわかった時にはおおーっ!と思わず叫びましたね。秋内、京也、ひろ子、智佳の男女二人ずつの四人の仲良し大学生が夏の季節に小さな友・陽介が飼犬に引き摺られて事故死した事件によって陰りが生じる。主人公の秋内静(せい)は友人達に疑惑を感じて動物の生態に詳しい間宮助教授に相談するのだが…。まず主人公の秋内が智佳に恋しながら何も言い出せないシャイな駄目男です。2023/07/25
遥かなる想い
420
道尾作品では珍しい「瑞々しい青春ミステリ」だそうで、「シャドウ」で青春の芽生えを「ソロモンの犬」で青春の謳歌を「ラットマン」で青春の終わりを描いているそうである。それにしても物語の展開は実にうまい。謎解きをしながら実は青春の悲しさ・滑稽さを鮮やかに描いている。秋内、京也、ひろ子、智佳の大学生4人の微妙な心の揺れを切なくもさわやかに描ききっている。2011/08/18
yoshida
395
道尾秀介さんは初読みの作家さんです。二転三転する謎、動物の行動にまで踏み込んだ構成、様々な伏線の見事な回収に一気読みで読了しました。大学生4人がとある雨の日に、謎のカフェに集まる。彼等は事故死した少年について話し始める。少年の死は巧妙な殺人事件だったのではないか。主人公の秋内が普通の大学生でした。友人の京也の持っていた、幼い頃の想いや、病気からなる屈折した感情に、人物の二面性をみた。勿論、誰しも二面性はあるとは思う。変人に見えた間宮先生が狂言回しとして、重要なキーパーソン。一気に読めて唸らされる作品です。2016/11/02
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