文春文庫<br> 永遠のとなり

電子版価格 ¥540
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文春文庫
永遠のとなり

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  • サイズ 文庫判/ページ数 254p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784167772024
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

妻子と別れて故郷・博多に戻った精一郎。がんに冒されながら、結婚と離婚を繰り返す敦。小学校以来の親友2人、どん底での再会。

内容説明

部下の自殺をきっかけにうつ病に罹り、会社を辞め妻子とも別れ、何もかもを捨てて故郷・博多に戻った青野精一郎。肺がんを発病し、死の恐怖から逃れようとするかのように、結婚と離婚をくりかえす津田敦。48歳となった、小学校以来の親友ふたり。やるせない人生を共に助け合いながら歩んでいく感動の再生物語。

著者等紹介

白石一文[シライシカズフミ]
1958年福岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。出版社勤務を経て、2000年に『一瞬の光』で小説家としてデビュー。09年『この胸に深々と突き刺さる矢を抜け』で、第22回山本周五郎賞、10年『ほかならぬ人へ』で第142回直木賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

かみぶくろ

104
50歳を前にした鬱病療養中のおじさんが来し方を振り返りながら前を向くお話である。物語として格別の起伏があるわけではないが、いつも通りこの筆者の老病死に対する向き合い方が真摯すぎてともかく胸に染みる。真面目で有能でナイーブというのが筆者のお決まりの登場人物だが、そしてそれは明らかに筆者の人となりが現れていると思うのだが、この作品はとりわけその傾向が強い気がする。久々に読んで、改めてこの人の書くものが好きだと思った。2020/03/15

じいじ

77
 「生」生きることへの意欲を抱かせてくれる良作である。主人公は、九州博多を故郷にする48歳中年男二人。中・高の同級生の親友同士。うつ病で妻子とも別れた”せいちゃん”と肺がんの恐怖と闘いながら結婚と離婚を繰り返す”あっちゃん”が、故郷で第二の人生への再生に挑む友情の物語である。白石小説の楽しみの一つ、白石理論への共感と反駁をしながら読み進めた。文中「人間のうちには、生きたがる自分とは別のもう一人の死にたがる自分がいる」は重い言葉だ。考えさせられる。台詞は博多弁、出だし戸惑ったが、お国のことばは味わいがある。2015/09/01

こうせいパパ

53
まさに永遠のとなり。この2人の友情っていいなぁと憧れる。「人間は生きたがる動物でもあり、死にたがる動物でもある」という言葉にどこか納得。ちなみに、物語は思いっきり地元が舞台。知った地名や施設が出てくるたびにテンションが上がった。2014/04/12

dr2006

48
再発した癌を乗り越え地元博多で文具店を営む×3の敦と、鬱病と退職と離婚により地元にUターンしてきた精一郎、二人は小学生からの親友だ。離婚を繰り返す敦が病床で精一郎に「夫婦でも恋人同士でも片方が死んでしまった時に、残されたもう一人が取り返しのつかないようなダメージを受けてしまう関係は間違っている」と云った。この言葉に自分も、いつまでも隣にいてくれる人の存在について思案した。決して大団円ではない終わり方がよりリアルに感じる。久し振りに読んだ白石一文、思索的な薄暗い草原に差し込む光のような希望を感じた。2021/10/31

速読おやじ

44
このところ白石さんに嵌っている。幼馴染の友情物語。二人とも心に傷を負っているし、実際に病気にもなっている。故郷福岡を離れ、東京の大学を出て、東京で会社員生活を送るもどちらも病気を契機に故郷に戻ってくる。自分も九州を離れ、結局東京で職を得て現在に至っている。この本が出版された2007年は白石さんが49歳、主人公たちも同じ年だ。今の僕と同世代。だからこそ夫婦、家族、子ども、友情、この物語で描かれるモノに心が動かされる。博多弁は自分の地元の言葉に近いので、懐かしさもあるが、ストレートに響くのだ。2021/10/11

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