内容説明
高山なおみが本格的な「料理家」になる途中のサナギのようなころの、雨ではないが晴れ間でもない、なにかの中間にいることの落ち着かなさ、不安さえ見え隠れする淡い心持ちを、そのままに綴ったエッセイ集。なにげない日々のなにげない出来事が静かに心を揺らし、切なく痛い。カラー口絵、32レシピ付き。
目次
青い毛布の胸のところが。
たましいの恋人たち。
彼女たちの、4月ものがたり。
これから。
職業の背中。
ひとりだけの場所。
頭の中の出来事。
スペーシャル・トゥー・ミー。
ふとんの中。
押し入れの奥の、かたまり。〔ほか〕
著者等紹介
高山なおみ[タカヤマナオミ]
1958年静岡県生まれ。レストランのシェフを経て料理家に。書籍、雑誌、テレビなどを活動の場とし、料理だけでなく文筆家としての顔も持つ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みっこ
53
美しい装丁とタイトルに惹かれて。日記なのだけど、詩のような散文のような、少しふわふわした不思議な文章。ハマる方もいると思うけど、私は少し苦手かも…。高山さんが見た夢の話がやたら多く、夢と現実がごっちゃになっちゃいました。そういえば高山さんって、離婚されて再婚されて、今の旦那様の連れ子の娘さんがいるんだっけ…と途中で思い出す。 娘のりうさんと一緒に暮らし始める日の話が好き。2016/05/28
ダリヤ
47
高山なおみさんの日々のなかから、ひとつまみされていく日々が料理になっていく。丁寧に料理をされる方の文章は、ことばも丁寧に組み合わされていて、リアルな日常もなんだか美しく、なんでもないわたしたちの日常も、実はとんでもなく美しいものなのかもしれない。なんでもない毎日を食卓にならぶ食事たちと一緒に消化して、なんでもない日常を積み重ねながらいつかふと思い出すなんでもない出来事こそ、愛おしかったり、考えさせてくれたり、美しかったりするよね。読み終わってから、そんな風におもった。2013/05/21
蒼伊
45
現実なのか夢想なのかわからない、常にふわふわした空気を纏ったエッセイでした。いつもどこかに不安が絡み付いていて、読んでいて時々苦しくなってしまいました。でも止められない、不思議な魅力のある一冊でした。2014/03/14
ユメ
41
高山さんが料理家として本格的に活動し始める前後の日々を綴った日記。驚いた。まるで詩人のような、触れたら脆く崩れそうな繊細な感性。感受性が鋭く研ぎ澄まされているがゆえの息苦しさがびしばし伝わってきて、どきどきしながら読んだ。冒頭の方にこんな文章がある。「ひとりで暮らしてゆこうということ、自分で自分にご飯を食べさせるということは、自分の意地汚さをはっきり目の前に見てしまうということだ。私は、そのことからできるだけ遠くにいたかった」それでも料理で生きてゆくことを選んだのが、彼女の芯になっているのだろうと思った。2018/02/23
りえこ
26
フィクションなのかなと思うくらい、様々な事や場所や一緒にいる人が変わっていて、つかみどころがない感じが面白かったです。2019/07/24
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