内容説明
恋する気持ちは、咲いては散り、そして再び咲き誇る桜の花のよう。父親より年上の男性と結婚した17歳の少女、亡くなった妹との約束を果たすため幾度となく行きずりの関係に身を任せる女性、兄の妻に密かに想いを寄せる青年…さまざまな恋模様の中に、生きることの至福と切なさを描く6つの連作短編。
著者等紹介
野中柊[ノナカヒイラギ]
1964年生まれ。立教大学卒業後、渡米。1991年、ニューヨーク州在住中に「ヨモギ・アイス」で海燕新人文学賞を受賞してデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶんこ
66
自分の、道徳観というか考え方がガチガチだという事に気づかされました。 6編の短編では最後の明信さんと千鳥さんのカップルだけがホノボノとしていて共感できました。 その他は不倫だったり、生徒と先生だったり、高校生の飲酒だったりと、文章としては綺麗なのですが、内容を考えるとちょっと怖い。 小手鞠さんの解説が野中さん大絶賛なのに驚きつつも、価値観が似ているのでしょうか。 しかし、他の方々の感想を拝見すると、自分のガチガチ振りが際立って恥ずかしいのですが、正直な感想を残します。2016/02/04
森の三時
43
すごく好きだという気持ち、あまやかなふれあいの幸福感、ゆるくふわっとしたおおらかさ、時々チリチリとする切なさ、そんな恋愛を描いた短編集でした。恋は多様性がありますね。純粋に人が人を好きになることは素晴らしいことであってそれ自体には優劣や善悪はないと思っていますので作者の恋する気持ちの表現を楽しめました。(父親より年上の男性と結婚する女子高生、先生と付き合う男子高校生の恋、既婚者の恋などが描かれていますので、その関係性を道徳や価値観で裁いたり嫌悪する人にはおすすめしません。)2020/06/24
はる
33
好きすぎて何回目の再読だろう…。 野中柊さんの切ない甘い恋の書き方すごく好きで、いろんな本を読んでも好きな彼女に戻ってしまう。 野中さんの本他にも再読してるけどいつ読んでも身に染みる。2020/05/25
Moemi
32
再読です。様々な恋模様が描かれた連作短編集。自分の父親よりも年上の男性と結婚した女子高生を描く「オニオングラタンスープ」や女教師と男子高生の恋愛を描く「光」なども好きですが、一番印象に残ったのはお互いに恋人のいる夫婦を描いた「運命のひと」です。「だけど、別れない、ぜったいに」という一言に静かな恋の狂気を感じます。そして亡くなった妹との約束を果たすために行きずりの関係に身を任せる女性を描いた「イノセンス」では、男性が女性に花束を渡して求愛する場面がすごく好きだなと思いました。2017/01/05
ワニニ
26
お昼休みにササッと読めてしまいますが、ひねくれモノの私でも、めずらしく読みながらドキドキドキドキしました。それは、あまりに純粋・直球だからからなのかな?と。いろいろな方々の寄せ集め的印象も受けますが、ここまで無垢な世界だと、突っ込めないや~。(関係的には、イケナイものもありますが)2014/06/11