内容説明
信長の夢は、天下一の棟梁父子に託された。天に聳える五重の天主を建てよ!巨大な安土城築城を命じられた岡部又右衛門と以俊は、無理難題を形にするため、前代未聞の大プロジェクトに挑む。長信の野望と大工の意地、情熱、創意工夫―すべてのみこんで完成した未會有の建造物の真相に迫る松本清張賞受賞作。
著者等紹介
山本兼一[ヤマモトケンイチ]
1956年、京都市生まれ。同志社大学文学部美学及び芸術学専攻卒業。99年「弾正の鷹」で小説NON短編時代小説賞を受賞。2004年「火天の城」で松本清張賞を受賞、同作は直木賞候補にもなった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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抹茶モナカ
132
安土城築城を番匠親子の物語を絡ませ描く。解説で築城は合戦と同じく大事業と説明している通り、結構登場人物が死ぬ。歴史の不明な所を想像力で描いた大人のためのエンタメ小説。2013/10/12
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
131
山本兼一さんを知ったのはこの作品からでした。信長から「天に聳える五重の天主を建てよ」と巨大な安土城築城を命じられた岡部又右衛門と以俊が無理難題を形にするため、前代未聞の大プロジェクトに挑む。信長を描いた本は数多くあるし、信長が安土城を気づいたことは中学生の教科書にも書かれているほど有名な事実。でも安土城そのものについて書かれた小説は少ないのではないだろうか?資料をもとに史実に忠実に書かれているようです。話の切り口が面白く、最後まで楽しめました。再現された安土城というのも一度見てみたいものです。★★★★★
hiro
127
山本作品は直木賞受賞作の『利休にたずねよ』に続いて2作目。本作品で直木賞を受賞してもおかしくはなかったと思うほど、完成度の高い作品だった。築城の小説では、これも直木賞候補だった門井さんの連作短編集の『家康、江戸を建てる』を先に読んだ。しかし、壮大で絢爛豪華な安土城の築城から、本能寺の変によって主を失い、火災で消失するまで描いたこの『火天の城』は、この城に対する信長の夢、その夢を実現させる大工棟梁の岡部又右衛門と以俊の親子が、鮮明に描かれていて、この信長の天下統一目前の時代を堪能することができた。2016/10/09
佐々陽太朗(K.Tsubota)
122
安土城築城に生涯をかけた岡部又右衛門以言と以俊の物語であるが、その築城プロセスを通じて実は信長の人物像が浮き彫りになるという小説上の趣向が凝らしてある。ここにあるのは信長と安土城の滅びの美学。天才として人智を超越した存在であった信長の姿は未曾有の巨城・安土城の姿とダブる。常人が常識とするものには嘘が多い。信長には常識にとらわれず真理に到達する純粋さがあったといえる。そして信長はその純粋さ(美しさ)によって滅び、滅ぶことによって永遠を獲得した。本能寺の変の直後に焼失してしまった幻の城・安土城も然りであろう。2013/05/08
またおやぢ
107
「番匠は木を組み 棟梁は人を組む」いつの時代であっても本質は変わらないことを再認識した一冊。2014/07/27
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