内容説明
「いいことの数は決まっていて、誰かが余計に手にすれば、誰かがあぶれる」。駆落ちした相手に逃げられたり、死んだ夫の連れ子と姑に手を焼かされたり…。とことん男運に恵まれないヒロインたちが、恋に翻弄され、揺れ動きながらも、何かをつかみとっていく姿を描く。情感あふれる八つの恋愛短篇。
著者等紹介
唯川恵[ユイカワケイ]
1955年金沢市生まれ。金沢女子短期大学卒業。銀行のOL等を経て、84年「海色の午後」で第3回コバルト・ノベル大賞を受賞し、作家デビュー。2002年「肩ごしの恋人」で第126回直木賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
300
【物忘れ部】既視感あるような、、、とはおもいつつ、読了して、今読メを開けて愕然としている。初回読了が5年前では仕方ないか。気を取り直して作品の内容に触れると、オトコに運命を委ねてばかりがごとくのヒロインにじれじれしつつも、どこか羨ましいような。彼女らの肩を抱いて、もういいよ先へ進もう、と言ってあげたくなる。読みながら何度も、亡き森瑤子先生の作風をおもいだしていた。2018/05/06
青葉麒麟
34
登場人物が微妙にリンクしてる短編集。前の短編の主人公とがっつり絡んでるのもあれば、直接接触してないのもあったりしたのがちょっと不満かな。どの短編集も割合あっさりしてて、読み終わったら直ぐに忘れちゃう感じ。もうちょい毒があっても良かった気がする。2014/06/21
ミカママ
33
「ちょっとだけ不幸」な女を描かせたら、唯川さんの右に出るものはいないと思いながら読みました。ヒロインたちがちょっとずつリンクしているのがとっても読みやすくて、リンクを探すのが楽しくて。ヒロインたちはどれもちょっとずつ不幸なんだけれど、ラストでちゃんと上向きの光が見えるところがさすがですね。2013/02/25
HMax
32
運の量が普通より少し少なく、不幸を呼び込む体質の女性8名を集めた短編集。微かに明かりがさす終わりが希望を与えてくれます。自由気ままに生きてきた「不運な女神」、母娘三代男運のない「ドールハウス」、男の都合に合わせてきた「帰省」が好き。ドールハウスの「今、こうして隣に座る聡美と、幼い頃、鏡子にまとわりついて離れなかった聡美は、本当に同じ娘だろうか。娘はいつから母を拒み、母はいつから娘を他人と割り切ればいいのだろうか。」難しい。2022/01/30
けいこ
28
男運に恵まれない女性たちの短編集。浮気されて逃げられたり、死んだ夫の連れ子や姑を気遣って再婚をふいにしたりと、読んでいるこちらも気が滅入る。不運に苦悩しつつ自分の人生を見つめ直す女性たち。嘆いていた人生も視点を変えるとそうでもない。人生って選択の連続で、どちらに行ってもそれなりの不運もあるし、幸せな時間もたくさんある。後ろを向かないで歩いて行こうって最後には背中を押してくれるような作品。安定の唯川さんでした。2020/11/01