内容説明
“景観荘”ホテルはコロラド山中にあり、美しいたたずまいをもつリゾート・ホテル。だが冬季には零下25度の酷寒と積雪に閉ざされ、外界から完全に隔離される。そのホテルに作家とその妻、5歳の息子が一冬の管理人として住み込んだ。S・キューブリックによる映画化作品でも有名な「幽霊屋敷」ものの金字塔が、いま幕を開ける。
著者等紹介
キング,スティーヴン[キング,スティーヴン][King,Stephen]
1947年、アメリカ・メイン州生まれ。「キャリー」「シャイニング」「ザ・スタンド」「ダーク・タワー」「IT」「ミザリー」「グリーン・マイル」など数々の傑作を発表し、“キング・オブ・モダン・ホラー”として世界的な名声を誇る巨匠
深町眞理子[フカマチマリコ]
翻訳家。1931年、東京都生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
218
物語は訪れるべきカタストロフィへ徐々に向かうよう、恐怖の片鱗を覗かせながら進むが、冒頭からいきなりキングは“その兆候”を仄めかす。≪オーバールック≫という忌まわしい歴史を持つ、屋敷それ自体が何らかの意思を持ってトランス一家の精神を脅かす。それもじわりじわりと。特に禁断の間217号室でジャックが第3者の存在を暴こうとする件は既視感を覚えた。この得体のしれない何かを探ろうとする感覚はそう、荒木飛呂彦のあの有名なマンガを読んでいるような感覚だ。頭の中で何度「ゴゴゴゴゴゴッ」というあの擬音が鳴っていたことか。2017/02/10
夜間飛行
212
雪山の無人ホテルでアル中男が一冬過ごすとどうなるか? 日常生活においてすでに不穏な親子三人の行く末はダニー少年の《パパがぼくをいじめる夢》の通りになるのだろうか? キングを読むと、作中人物と一緒に断崖絶壁に向かって突っ走る列車の乗客にさせられてしまう。特に本作では、物を書く主人公が作者の分身であると共に読者の鏡にもなっているようだ。つまり、私自身が癖や依存から狂気、そして破滅へと向かうジェットコースターに乗っているのだ。そして恐ろしいけれど、そんな危うさも実は生きる力になっているのではないかと思えてくる。2020/09/27
散文の詞
166
冬季には酷寒と積雪に閉ざされる《景観荘》ホテル。 そこに、管理人として住みこむ作家とその妻と5歳の少年。 その少年には特殊な能力があった。 しかも、そこには何かが待ち受けている。 この巻の最後が、気持ちの悪い終わり方です。たまたまなのか、考えてられているのか? なんとなく、この少年が能力がキーになるんだろうけど、この辺りの設定はうまいですね。 静かに始まったこの話、下巻でどんな対決が始まるのか。 楽しみです。 ちなみに、『レドラム』って日本語で書かれるとなんだかわからないけど、英語ならすぐわかる。 2021/01/22
ケイ
146
息子の言っていることが最初はわからなかったのだが、その支離滅裂な理由がみえてくると、次に何が起こるのか、何が待ち受けているのか、彼らに何が起こるのか、待ち構えるもホッと胸を撫で下ろす、という繰り返しだった。息子だけが見えるものの描写のされ方 により、彼だけが見えるものが私にも見えてくるようで怖い。2017/10/08
nobby
142
映画含めキング初体験。舞台はコロラド山中の豪華リゾートホテル オーバールック(景観荘)。積雪と極寒から周囲と完全に隔離されるシーズンオフに管理人として住み込むことになったトランス一家。そこには何やら不可解でおどろおどろしい様子満々だが、まだ何も起こっていない。5才の息子ダニーの他人の心の声が聴こえたり、時には未来も見える“かがやき”という不思議な能力が、どんな結末を呼ぶのか不気味。それよりアルコール使用障害克服に苦しむ父親ジャックの徐々に垣間見える狂気が怖い。はたして217号室へ踏み込んだ展開やいかに!?2017/11/03