内容説明
1997年3月、香港近郊の養鶏場で鶏が死ぬ。H5N1型の鳥インフルエンザが世界を騒然とさせる始まりであった。それを遡ること80年前に世界を席捲した「風邪」は、4000万人を殺した。この恐るべきインフルエンザウイルスの正体を追って、永久凍土に埋葬された遺体の胸からウイルスを採取すべく、ある調査団が極北の墓所へ向かう。
目次
第1章 香港でのちょっとしたできごと
第2章 新種の疫病
第3章 いのちのきわに
第4章 凍てつく海岸
第5章 ストレスは極限に
第6章 敬意と厳粛さ
第7章 生命のことば
第8章 三〇〇〇ドルとシャベル
第9章 おそろしく屈辱的なもの
第10章 プラグ・ドラッグ
著者等紹介
デイヴィス,ピート[デイヴィス,ピート][Davies,Pete]
英国のノンフィクション作家。英国の選挙戦を題材にした「ジス・イングランド」、アメリカのルポ「ストーム・カントリー」などの著書がある。ウェストヨークシア在住
高橋健次[タカハシケンジ]
1937年生れ。慶応義塾大学英文科卒。出版社勤務を経て翻訳者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うたまる
2
「また汎流行が発生するだろうか」「それは、だろうか、という問題ではない。いつか、という問題にすぎない。どうしても避けられないことなのだ」……インフルエンザ解明に挑む科学者たちを描く、サイエンス・ノンフィクション。中国で発生したトリインフルエンザ・パニックから書き起こし、佳境は第一次大戦時に推定4,000万人を殺したウィルスの特定作業に至る。この過程を俯瞰するに、まあ科学者たちの功名争いの醜いこと。まあジャーナリストの意地の悪いこと。欧米人の醜悪っぷりを横目に見つつ、これが人類の進歩の礎であることも認める。2015/01/16
yos
1
女性リーダーの人間性に問題がありすぎる。科学者達の名声を求めるエゴイスティックな側面は醜悪だ。それがインフルエンザウイルスを扱う業界の実態だとしても少々幻滅。人間は優れた業績も残す一方で、愚かな行為にはしるというのは、確かに真理ではあるけれどね。著者は様々な角度から広く丁寧に取材しており、医学的に難解な部分はたとえを用いるなど平易に読めるよう努め、近い将来かならずくる汎流行への警笛を鳴らす。10年ほど前のインフルエンザ業界の動向と研究の方向性はよくわかったが、なんとも爽快感のないノンフィクションだった。2007/09/26
yooou
0
☆☆☆☆★2007/04/08