出版社内容情報
あの事件から1年後。アキは、犯罪のプロとなるべく、柿沢と桃井とともに研鑽の日々を過ごしてきた。『ヒート アイランド』第2弾。
内容説明
渋谷のチーム「雅」の頭、アキは、チーム解散後、海外放浪を経て、裏金強奪のプロ、柿沢と桃井に誘われ、その一員に加わる。二人は、あらゆるテクニックをアキに教え込み、アキも持ち前の勘の良さで、課題をクリアしてゆく。はたして、アキのデビューはうまくゆくのか?「ヒートアイランド」の続篇となる痛快クライムノベル。
著者等紹介
垣根涼介[カキネリョウスケ]
1966年長崎県生まれ。筑波大学卒。独自の人間観察眼と、疾走感溢れるストーリーテリングをその持ち味とする。2000年、『午前三時のルースター』(文春文庫)でサントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞し、デビュー。04年、『ワイルド・ソウル』(幻冬舎文庫)にて、大藪春彦賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞と、史上初のトリプル受賞に輝く。05年には『君たちに明日はない』(新潮文庫)で山本周五郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
410
シリーズ第2作目。最初からそうした構想であったかどうかは不明だが、「起承転結」の「承」にあたるのがこの巻。主人公は第1巻を承けてアキ。そして、それを支える柿沢、桃井の両軸構造も同じだ。内容はタイトル通りに、アキが一流のギャングスタ―になるための教育・訓練の課程が描かれる。この巻もおもしろくはあるが、当然のことながら第1巻ほどのインパクトはない。あくまでも4部作の繋ぎといった感は拭えない。また、この巻でも垣根涼介の車への偏愛ぶりが一層輪をかけたものとなる。まあ、付き合えないということはないのだが。2019/04/15
しんたろー
163
シリーズ2作目はアキが裏社会のレッスンを受けてゆく過程を描いた〈ハウ・トゥ・ギャング〉…「こうすれば自分もギャングに成れる」とチョッとは思えるから面白い。人情味ある桃井、冷静沈着な柿沢、三人の個性が書き分けられているが活かしきれていない気も…車と銃器の描写が丁寧だが、少々くどくて「それよりも、もっとドラマを!」と感じた。ヤクザ・柏木(巻末のスピンオフも面白い)とコンパニオン・明美がユニークな味を出していたのは好み。主な登場人物のその後が紹介されて嬉しかったが、桃井の元カノ・憲子には幸せになって欲しかった。2019/10/11
KAZOO
141
ヒートアイランドの続きで、アキという若者が先輩二人(柿沢と桃井)にその道の指導を受けていくということで、それなりに楽しめます。まあやはりあまり失敗はしないような感じです。3作目と4作目はこの次ということではないので早めに5作めでこの3人の活躍を読みたい気持ちです。2016/05/07
Satomi
76
「ヒートアイランド」の続編!!とても面白かった!!前作では渋谷で100人のメンバーを束ねていた頭のアキ。今回はプロ強盗の仲間となり、その仕事のノウハウを身につけるという物語。表の顔と裏の顔の顔を使い分ける。車や銃のくだりはマニアック過ぎてついていけないが、読み飛ばしても問題ない。キレキレのアキが、柿沢と桃井の前では子供扱いされる。必死に食らいつこうする姿がいじらしく可愛い。警察には届けられない裏金ばかりを狙うプロ強盗。アキがどう成長するのか、何を狙うのか、今後が楽しみ。2017/07/31
ずっきん
75
再読。本棚整理してたら『ヒートアイランド』シリーズが出てきて、当然のごとく整理は頓挫笑。このシリーズはこの2作目と3作目の『サウダージ』がすごくいい。むろん1の『ヒートアイランド』あってこそだけれど。緊迫感の代わりにウィットと情がふんだんに練り込まれている。人間描くの上手いよね。みんな活き活きと踊りまくる。そういえば直木賞取れてよかった。でも作品でいうなら『ワイルドソウル』や『ヒートアイランド』で取ってておかしくないと思う。さあて、ヘタレのアキにもっとにやにやしたいから『サウダージ』も行くか。2023/11/10