内容説明
故郷を捨て、過去を消し、ひたすら悪事を働いてきた日系ブラジル人の高木耕一は、コロンビア人の出稼ぎ売春婦DDと出逢う。気分屋でアタマが悪く、金に汚い女。だが耕一はどうしようもなくDDに惹かれ、引き摺られていく。DDのために大金を獲ようと、耕一はかつて自分を捨てた仲間―裏金強奪のプロである柿沢に接触する。
著者等紹介
垣根涼介[カキネリョウスケ]
1966年長崎県生まれ。筑波大学卒。独自の人間観察眼と、疾走感溢れるストーリーテリングをその持ち味とする。2000年、『午前三時のルースター』(文春文庫)でサントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞し、デビュー。04年、『ワイルド・ソウル』(幻冬舎文庫)にて、大薮春彦賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞と、史上初のトリプル受賞に輝く。05年には『君たちに明日はない』(新潮社)で山本周五郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
408
シリーズ第3段。「起承転結」の「転」にあたる。新たな登場人物のうち、和子はそこそこに魅力的ではあるが、それぞれに個性的なレギュラー陣に比して影が薄い。その上、彼女に対した時のアキが幼な過ぎて、第1巻との齟齬が大きすぎる。耕一とDDの二人は、物語にインパクトを与えるほどの要素を持ち得なかった。また、『サウダージ』という魅力的なタイトルに期待したが、残念ながらクライムに押されて、サウダージの憂愁は影を落とさなかった。ブラジル移民を描くには『ワイルド・ソウル』を待たなければならなかったのだろう。 2019/04/16
しんたろー
187
3作目は移民二世として帰国したが迫害された若者・耕一を主に、アキの初恋が並行して展開…マニア向けのガン&カーの描写は抑えめで、あぶれ者たちの生き様に注力しているのが読み易かったし、耕一の情婦・DDが色濃い存在感で魅力的!…フェロモン満載で直情的な行動は、読者をイライラさせる役割も持たせて巧く使っている。強奪そのものが小さいのが残念だが、アキと耕一を対比して「恋愛の形」を面白く描いていた。エロシーンの強烈さは賛否あるだろうが、こういう作品でテーマを描く上では妥当だったと思うし『教団Ⅹ』以来の興奮を覚えた💛2019/10/24
KAZOO
162
ヒートアイランドの第三弾なのですね。私は2作目は読んでいません。ほかの方も書かれていますが、読むのに耐えない描写が若干多くて閉口しました。これはある意味恋愛ものなのでしょうか?金を奪うところなどや改造車で飛ばすところは読んでいて迫力がありある意味で本来的な部分かとも思うのですが。ある意味教育しているのでしょうか?このシリーズのほかの本も読んでみるつもりですが、どうなりますやら。2016/04/25
takaC
94
面白いけど過剰にエロい気もする。2015/12/04
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
89
ヒートアイランドシリーズ。故郷を捨て、過去を消し悪事を働いてきた日系ブラジル人の高木。コロンビア人の出稼ぎ売春婦DDと出逢い、DDに惹かれ引き摺られていく。彼女のために大金を獲ようと企てる高木。「ワイルド・ソウル」には及ばないものの垣根さんらしいバイオレンスを感じさせる作品。★★★