内容説明
恋人に逃げられ、勤務先は倒産。ドツボにはまった三十歳の幸恵は、昔付き合った男に貸した金を取り立てるところから人生を立て直そうと考えたが…(「素晴らしい一日」)。卓抜なユーモア感覚が絶賛されたオール読物新人賞受賞作を含め、憂きことばかりの人の世を、もがきながら生きる人間像を軽やかに讃える傑作六編。
著者等紹介
平安寿子[タイラアスコ]
1953年、広島市生まれ。フリーライターとして働くかたわら、アン・タイラーの作品に触発されて小説を書き始める。1999年、「素晴らしい一日」で、第79回オール読物新人賞を受賞
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感想・レビュー
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へロム
45
いろいろな男女関係の短編集で、コミカルに描かれていて面白かった。次は「グッドラックららばい」を読んでみよう。2013/10/08
タツ フカガワ
33
イマイチさえない女と男が繰り広げるちょっとほろ苦い6話の短編集。『こっちへお入り』に続く平さんの2冊目ですが、この短編も面白かった。表題作は、会社が倒産し暮らしに切羽詰まった女性が、元カレに貸した20万円を返してもらいに行ったら、元カレの金策に同行することに。「商店街のかぐや姫」は、医者の父に反発して家を飛び出し八百屋の嫁になった娘が10年後、嫌いな父と対面するが……。どちらもユーモアとペスーソスがほのかに漂う話で、改めて平さんのうまさを実感しました。2021/04/27
エドワード
32
とかくこの世はままならぬ。されどそうそう捨てたもんじゃない。六つの短編に通じるテーマはそういったところかな。後半の二編が実に愉快だ。部下が派遣で来た女性に惚れた結果の?!?な話を聞く部長。ところが部長も身に覚えあり!な「誰かが誰かを愛してる」。お堅い医者の家で育った月恵。反発して飛び出し、今はスーパーのママ。ある日、妹の結納に夫婦で出席することになり…家柄の違う家庭のドタバタ劇「商店街のかぐや姫」。昭和のホームドラマを見ている懐かしさ。平さんのデビュー作、リアリティあふれる人間造型はすでに完成されてます。2017/11/28
はつばあば
29
いつの世も女がたくましくなくっちゃと苦笑いを浮かべながら読了。どんなに惚れた相手でも金銭の貸し借りはご法度。でも惚れた弱みで貸すなら、無くてもかまわない許容範囲にすべし。葉室麟の武士の矜持から少し離れたくて息抜きに手に取った一冊だが・・・昔の男はこんなにもチャラ男はいなかった。いつの時代から変わってきたのか・・・。やっぱり女が出しゃばるようになってからだろうな。2014/10/09
カッパ
20
傑作6編ということで読みました。 底抜けに明るい友郎は素敵。中原をある意味では射止めた南ちゃんが大人になった彼女はほどよい悪女。誰かが誰かを愛してるではきっと何かがかけてる避妊に失敗したとお金をとってた女性が愛を見つけるシーンが描かれている。2018/08/07