内容説明
この十年間で美容外科の数は倍増した。その一方で、患者と病院とのトラブルはいっこうになくならない。シワ取り、シミ取り、二重まぶた、隆鼻、豊胸、脱毛、脂肪除去…。「お化粧感覚できれいになれる」「簡単に若返る」という甘い言葉は本当なのか?どんな手術が安全でどんな病院が危険なのか?メスを入れるのは、ゆっくり考えた後でも遅くない。
目次
第1章 現場―手術室
第2章 患者―漂う身体
第3章 歴史―美容整形進化論
第4章 テクノロジー―シリコーンというハイテク素材
第5章 医者―美人製造ドクター
第6章 越境―美容整形海外事情
第7章 未来―二一世紀・身体加工のゆくえ
著者等紹介
山下柚実[ヤマシタユミ]
1962年、東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。1995年、『ショーン横たわるエイズ・アクティビスト』で第1回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞
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感想・レビュー
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hatayan
30
2001年刊。美容整形の現場と歴史を丁寧に取材。 「わたしはきれいになっていくのよ」と語りかけるように、脂肪吸引を受けながらニヤリとした表情を思い浮かべる女性。手術には容姿の不公平を取り除く意味があると整形を肯定的に捉える医師。 著者のなかにも、かすかだけどリスクが減ったら変身してみてもいいかな、という気持ちが。ハードルを容易に飛び越える患者を前に著者は戸惑いながら、美容整形に抱く戸惑いや抵抗感は、操作しきれない曖昧なものであるはずの身体を意のままに操ることに畏れを感じているからではないかと結論します。2019/07/30