内容説明
樋口一葉、正岡子規、竹久夢二、乃木希典、斎藤茂吉…。近代日本を彩った著名な人物も、痛みに怯え病いに苦しんだひとりの生活者であった。10人の体質や病歴、そして死病に焦点をあて、暮らし向きや当時の医療事情に触れつつ、忘れられた“痛み”を追体験する。意外な事実・写真も満載、歴史の足音を聴く名著。
目次
樋口一葉
中江兆民
正岡子規
乃木希典
夏目漱石
松井須磨子
野口英世
竹久夢二
宮沢賢治
斎藤茂吉
著者等紹介
立川昭二[タツカワショウジ]
1927年生まれ。北里大学名誉教授。とくに文化史・生活史の視座から病気・医療を追求、独自の領野を拓く。1980年サントリー学芸賞受賞
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感想・レビュー
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澤水月
10
英世や茂吉、夢二らの性と生と疾患を社会状況と共に。乃木希典夫妻の自刃直後の図や、文人の末期直前直後のスケッチも(習慣?結構どぎつい)。スペイン風邪の猛威。関わりなさそうな文人らが同じ医師の手で看取られたり東大医学部で解剖されたり。今見ると壮絶な死の場などに筆者が「聖地巡礼」してるようにも。山風「人間臨終図鑑」より陰性、茂吉を「女を人扱いしていない」と書きつつ一葉、須磨子を筆名で呼ばなかったり筆致に「無意識の」悪意感じる… 高度経済成長まで人は家で主に亡くなっていたのがよくわかる。一葉と子規の家族介護も壮絶2023/01/15
Gen Kato
3
再読。樋口一葉と正岡子規がとにかく壮絶。2016/10/19
bittersweet symphony
1
著者は北里大学名誉教授。病・養生・往生際からの観点で文化史・文学史を問い直している人(ただ医学の知識がどのレベルなのかはよく解りません。臨床医学の立場から文献・画像を解析していく篠田達明という人がいますが、ちょうど合わせ鏡のような感じかもしれません)。明治を中心にした著名人の病みっぷりと死にっぷりを、それぞれの思わぬ関係を織り交ぜつつ描いているものです。顔ぶれは樋口一葉・中江兆民・正岡子規・乃木希典・夏目漱石・松井須磨子・野口英世・竹久夢二・宮沢賢治・斉藤茂吉の10人。2005/06/11
Hiroaki Nagayama
0
本日は正岡子規の命日ということで、明治から昭和にかけての著名な文化人たちの病や臨終の話ばかりを集めたこちらを読む。当時、旧暦では17日で、のちに弟子であった高浜虚子は大正3年発刊のホトトギスに「子規居士と余」という臨終の光景を寄稿している。「子規逝くや十七日の月明に」。坂の上の雲では、脊椎カリエスで地獄の苦しみを味わいながら死ぬ子規に涙したが、この本を読むと、病人とは到底思えないほど大量の食物を食い尽くしながら、モルヒネで痛みを抑えながら句会を催し、新聞社に原稿を送り、俳句の近代化すらやってのけてしまう。2012/09/19
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