文春文庫
金輪際

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  • サイズ 文庫判/ページ数 281p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167654023
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

地の下には三つの輪があって、この世を支えているという。その無限の底を金輪際という。世を厭い人を呪う生を送ってきた私の人生に、棘のように突き刺さり、今なお己れを狂わせる記憶の数々…。人間の生の無限の底にうごめく情念を描ききって慄然とさせる七篇を収録した傑作短篇集。

著者等紹介

車谷長吉[クルマタニチョウキツ]
昭和20(1945)年7月、兵庫県飾磨市(現・姫路市)に生れる。昭和43年春、慶応義塾大学独文科卒。広告代理店などに勤務しながら小説を書く。その後、東京を離れ、関西で下足番、料理人となって働く。平成4年に出版された初めての作品集「塩壷の匙」(新潮社)で芸術選奨文部大臣新人賞、三島由紀夫賞を受賞。平成10年、「赤目四十八滝心中未遂」で第119回直木賞を受賞。平成13年、「武蔵丸」で川端康成文学賞を受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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ω

48
震えた…。。昭和57年から平成10年にかけて書かれた車谷先生の短編集。全作サイコー。未来がな過ぎる、暗過ぎる。どうしようもない主人公に近寄って来て去ってゆく魅力的すぎる女性たち (´;ω;`) 直木賞作家だけど、芥川賞は二度逃しておられる。その際の丑の刻参りは本当だろうか…「死ねッ。」「天誅ッ。」心臓発作で倒れ、「読むだけで気が滅入るようなものを書いているのだから心臓に差し込みがくる」と診断される。こんなにエグい作家先生が家賃を払えない極貧。。痺れすぎて何もする気がおきん…ω2021/03/27

James Hayashi

34
7つの短編集。とても印象深かった「赤目四十八〜」の後で、期待感はあったが短編でさらっと味見する程度に読み始めたが、最後の「変」で驚かされた。全体的に負の息吹を感じる様な作風だが、「変」ではブラックホールに吸い込まれる様な強い力を感じた。私小説であろうか、文学賞受賞前後の心象がかかれているが、世の世相も反映し暗いのなんの…… こういう体験を書き表すことができる作家は少なくなってきていると思う。2017/06/18

メタボン

27
☆☆☆☆☆ 「ある平凡」「児玉まで」の2編が非常に良かった。後の赤目四十八瀧心中未遂にもつながる、寂寥感あるたたずまいの作品。暁子、頼子の陰があり、ほのかにエロティックなキャラクターが印象的。この2作が昭和57~58年と初期の作品であることに驚く。机の中に放置されたチョコレート、疣だらけの雅子ちゃん「静かな家」、皮肉に冷たい澤田くん「金輪際」、転落していく美女のきさちゃん「白黒忌」、凶事が続く平成7年、芥川賞選考委員の人型に五寸釘を打ちこむ「変」。他、「花椿」。2017/09/09

ちょん

23
表紙にやられてだいぶ前に購入してたのですが、なかなか世界観に入れず……よーやく読み終わりました。私小説なの?と思いながら読んでましたが難しかった、こういう本をさくさく読めるようになりたい( ᷄ᾥ ᷅ )最後の「変」は作者の感情モロ出しでこれは読みやすかったです✨2023/04/13

スミス市松

23
小説が私の心の中にある「一番寒い場所」を暴く。読者は私小説として書かれた言葉に、みずからの「私」を見いだすのである。私は東京に移り住んだ後年の車谷と全く同じ生活圏で人生を送ってきたが(たとえば、「変」に登場する駒込の天祖神社は母校の公立中学校の目と鼻の先であり、格好のカツアゲ場だった)、痛みのあまり何度も目を背けたくなった理由はそれだけではない。「ある平凡」、「児玉まで」はとりわけ耐えがたい印象を残した。いまはそれ以上に語るべき言葉を持たない。2018/05/24

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