内容説明
小説家である前に、小説好きを自負する浅田次郎氏。物語は「あらゆる日常の苦しみを忘れさせるほど、面白くなければならない」という氏の心に深く残った森鴎外、谷崎潤一郎、芥川龍之介、中島敦、小泉八雲など13篇を収録。「いつも私の安息であった」という満天の星の如き物語をお届けする。文春文庫創刊30周年記念企画第2弾。
著者等紹介
浅田次郎[アサダジロウ]
1951(昭和26)年、東京生まれ。著書に「地下鉄(メトロ)に乗って」(第16回吉川英治文学新人賞)「鉄道員(ぽっぽや)」(第117回直木賞)「壬生義士伝」(第13回柴田錬三郎賞)などがある
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感想・レビュー
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KAZOO
93
浅田次郎さんの編纂による有名な作家ばかりの作品集です。再読でしかもほとんどの作品はほかのところでも読んだものばかりなのですが、いつも違った楽しみを与えてくれます。今回印象に残ったものは、山本周五郎の「ひとごろし」、井上靖の「補陀落渡海紀」、梅崎春生の「赤い駱駝」、立原正明の「手」でした。2023/05/14
こばまり
57
目当ては川端康成『死体紹介人』。果たして結界越しに覗く異界の味わい。我を忘れたのは井上靖『補陀落渡海記』。嗚呼、またしても“老コン”(老後にコンプリートしたい)作家が増えてしまった。私の老後に新刊を読む隙間はない。2019/07/08
ピロ麻呂
41
中島敦「山月記」や小泉八雲「耳なし芳一」は教科書に載る有名な作品。その他、谷崎潤一郞、芥川龍之介、井上靖、松本清張などの短編を収録。歴史に残る作家の作品は、当時の読者を楽しませ、現代の私たちが読んで感銘を受け、また次世代に継がれていくのですね。素晴らしい物語ばかりでした。2020/08/05
James Hayashi
36
浅田氏が選んだ至極の13編というアンソロジー。どれも秀逸である。小泉八雲の「耳なし芳一」中島敦の「山月記」。谷崎潤一郎の「秘密」が素晴らしい。100年以上前の作品だが、女装やら目隠しをされ俥に乗せられ向かう過去の女の家を探る様子など惹きつけられた。ストーリーもいいが流れる文体が美しい。また松本清張の「西郷札」、井上靖の「補陀落渡海記」など実話からの作品は歴史的に興味を覚えた。2017/08/19
綾
25
お気に入りさんのレビューを読んで、気になって読みました。どれも短いのに、先が気になり読み終われば考えさせられました。編者浅田次郎のあとがきもよかったです。浅田次郎の、心に残る物語たち。確かに。2019/08/16
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