出版社内容情報
作り話は一切無用。ほんとうにあった怖い話だけを持ち寄る「話の会」。ご隠居・清兵衛は、いつしか不思議な魅力に取り憑かれていく。
内容説明
作り事は一切無用。ほんとうにあった怖い話だけを披露し合うという集まりに顔を出すようになった清兵衛は、いつしかその妖しい魅力に取り憑かれてゆく。やがて各々の身辺に奇妙な出来事が起こりはじめ、ひとり、またひとりと…。老境を迎えた男女の迷いと、人知の及ばぬ事件が絡み合う、哀愁味あふれる怪奇譚。
著者等紹介
宇江佐真理[ウエザマリ]
昭和24(1949)年北海道函館市生まれ。函館大谷女子短期大学卒業。函館在住。平成7(1995)年「幻の声」でオール讀物新人賞を受賞しデビュー。『幻の声 髪結い伊三次捕物余話』及び、『桜花を見た』『紫紺のつばめ 髪結い伊三次捕物余話』『雷桜』『斬られ権佐』『神田堀八つ下がり』は直木賞候補となる。『深川恋物語』で吉川英治文学新人賞、『余寒の雪』で中山義秀文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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時代小説大好き本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まちゃ
87
宇佐江さんの作品は初めてでした。怖い話を披露し合う百物語を題材にした怪奇短編集。百物語の参加者の人間関係も織り交ぜながら、人が死とどう向き合うのかを描いたのではないでしょうか。なんとも寂しい結末でした。2016/06/01
じいじ
77
宇江佐真理の65作目、未読は残り4作ちょぴり寂しい気持ちです。今作は初体験の読み心地、怖いホラーです。江戸に家康が乗り込んでくる頃の話。主人公は、昔その家康に仕えたことがある、料理茶屋「平野屋」の七代目は真面目一徹な清兵衛。この清兵衛さん50歳を過ぎて、店を息子に譲り第二の人生を…その矢先、病に襲われます。持つべきものは「心友」死の恐怖に怯える清兵衛を救ったのは、医者ではなく心の友でした…。ホラーが苦手な私でも愉しく読める怪談話でした。こんな小説も描かれるのか、と宇江佐真理がますます好きになりました。2025/01/18
shizuka
63
怪奇ものだからと身構えて読みすぎて、第一話はほんとうに怖かった。(実は怖くない)夜中、暗い部屋で一人で読んでて死にそうになった(阿呆である)けれど、「箱根にて」が怖さを遥か上回り、心温まるいいお話であったため、一気に形勢逆転。怖いなんて嘘さ。確かに怪奇談ではあるけれど、読者をビビらせて終わりの小説ではない。私は「目に見えないもの」はあると思っているから、不思議な話があっても納得できる。だから異界の近くにいる可能性もある。が、戯れに覗くことだけはやめておく。いずれ、そちらに逝くのは約束されていることだしね。2017/03/10
ふじさん
54
作り事は一切無用、ほんとうにあった怖い話だけを披露する「話の会」に顔を出すようになった清兵衛、いつしか会の魅力に引き込まれる。そのうちに奇妙な出来事が続いて起き、仲間が次ぐ次に亡くなっていく。老境を迎えた男女の戸惑いと奇怪な事件が絡み合う、哀愁味溢れる怪奇譚。宮部みゆきを彷彿させるような一味違った宇江佐真理を知ることが出来た。 2020/07/30
tengen
43
隠居した料理茶屋平野屋の清兵衛はその寂しさも相まって死がとても恐ろしい。友の蠟燭屋伊勢屋の甚助が参加する話の会に参加する。それは本当にあった怖い話だけを披露するという奇妙な会であった。 そして話だけでなく恐ろしい出来事が… ☆彡宮部さんの百物語とつい比べてしまうが、ここは宇江佐さんならでは。2018/06/26