出版社内容情報
父と弟を斬り、自らも悲劇の最期を遂げた源氏の棟梁、義朝。頼朝、義経の父は如何なる思いで、清盛を見ていたのか。文庫書き下ろし。
内容説明
鎌倉幕府を開いた源頼朝、そして、日本史上の稀代の英雄、源義経の父にして、太政大臣・平清盛の最大のライバルと目された男、源義朝。平家に比肩すべく、関東を源氏の拠点として作り上げ、頼朝再起の基礎を作り、保元の乱では、敵方についた父と弟たちを殺し、源氏の棟梁に君臨した悲運の御曹司の波瀾の生涯。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
エドワード
18
保元平治の乱。平氏の隆盛を築いた大乱は源氏の没落を招いた事件でもある。冒頭で関東に下向した源義朝が、伺候してきた家臣に問う。「源氏の郎等などというものはこの世におらぬ。お前たちは父為義の郎等か、義朝の郎等か。」二人の主人を持つことを認めない、源氏の流儀。かたや平清盛は「一門の団結を忘れたとき、平家は滅びる。」と説く。強い絆で結ばれた平家一門はこの後栄華を極め、清盛の死後、西海に沈む。源頼朝は鎌倉に武家政権を樹立するが、頼朝の死後、源氏は三代で滅ぶ。一族の間で殺し合う流儀のなせる業としか言いようがない。2014/08/26
もっか
6
義朝…報われなさすぎないか?まあ、史実だから仕方ないのだが。源氏の流儀を連呼する割には流儀に背き、でも結局流儀で自滅する。後に鎌倉幕府ができるの知ってても悲しい。湘南に育った身としては知っている地名、氏、が沢山出てきたのは嬉しかったが…その、大変申し訳ないが著者の文章力、構成力が今ひとつだった。題材的にはもっと売れていい本。2012/09/27
m
5
言わずと知れた源頼朝、義経の父・義朝。彼を主人公にした本は珍しいと思い読んでみた。この時代、京が都だから関東イコール田舎武者なのね。確かに平清盛に比べると政治的手腕も思慮の深さも見劣りする。これでは負けるのも仕方ないかなぁ。落ち延びている最中馬上で居眠りをして、父や兄達とはぐれてしまう頼朝は流石だと思った(笑)恐るべきマイペース。常盤御前も義経も登場しなくて残念。2015/11/08
チャゲシン
3
父、為義との不和。だからこそ、実力で源氏の棟梁の地位をもぎ取った義朝の武士としての意地。これこそが武家の棟梁たる源氏の流儀だという熱い生き様を描いた、頼朝の父ちゃんの物語、、、それが何故清盛に破れ滅びたのか、、、これまた人間ゆえのドラマ。為朝はでて来ないですななぜか。2021/01/16
Yasushi Muto
3
よく論議される源氏最強は誰か?八幡太郎義家は異論無きところだが後は割れる。が、そこに源義朝の名は上がることは無い。ただ、悲しい末路を辿る者が多い頼信、頼義、義家から続く河内源氏の系譜の中でも義朝は哀しさでは存在感のある武将だと思う。源氏の流儀に縛られて没落した父為朝に反抗するも、最後はまた源氏の流儀に囚われ、強くあれと生きた儚き源氏の御曹司。その子ら義平、頼朝、義経らも皆、その源氏の流儀に囚われ強く哀しく生き、そして滅んで行く。正に諸行無常の響きしか無い。2018/10/19