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文春文庫
メタボラ

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  • サイズ 文庫判/ページ数 684p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167602147
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

記憶喪失の僕と島を捨てたアキンツの、行くあてのない逃避行。社会から疎外された若者たちを通じて現代の貧困を暴き出した問題作。

内容説明

記憶を失った「僕」は、沖縄の密林で、故郷を捨てた昭光と出会う。二人は名前を変えて新たな人生を歩もうとするが、非情なヒエラルキーに支配された実社会に、安住の地は見つからない。孤独、貧困、破滅の予感。逃げろ!何処へ?底辺に生きる若者たちの生態を克明に描き、なお清新な余韻を残す傑作ロードノベル。

著者等紹介

桐野夏生[キリノナツオ]
1951年、金沢生まれ。成蹊大学法学部卒業。93年「顔に降りかかる雨」で江戸川乱歩賞受賞。99年『柔らかな頬』で直木賞、2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞、04年『残虐記』で柴田錬三郎賞、05年『魂萌え!』で婦人公論文芸賞、08年『東京島』で谷崎潤一郎賞、09年『女神記』で紫式部文学賞、『ナニカアル』では10年、11年に島清恋愛文学賞と読売文学賞の二賞を受賞。1998年に日本推理作家協会賞を受賞した『OUT』で、2004年エドガー賞(Mystery Writers of America主催)の候補となった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

317
香月雄太として生きた第1の生では、彼の家族が崩壊する。それは、これまでは疑問に思うことなく生きてきた自らの人生行路の崩壊でもあった。桐野夏生は、家族という共同幻想を、それがまさに幻想に他ならないという現実を我々に突きつける。また柏崎では、自身が社会の下の下の労働力でしかないという現実を思い知らされる。これもまた幸福とは言えないだろう。そして、第2の生を選び取った後には何が残るのだろうか。これは、この現代にあって若者として生きることの荒野を描いた作品である。銀次も昭光も、常に渇きと焦燥の中にあったのだ。2018/04/28

シナモン

113
冒頭、自分が誰かも分からず追われるように密林を走り回っているギンジの描写にこの後の展開が謎すぎて期待が膨らむ。が、その後出会うアキンツの独特の方言が馴染めなくて、桐野さんの作品にしては読むのに時間がかかった。持ち物も何一つなく記憶を無くした人が紆余曲折を経て、新たな自分を形成していく過程がリアルで読み応えがあった。記憶が戻ってからは読んでて辛すぎるしラストはやはり救いがなくてあぁ…と思うのだけれどなぜか惹き込まれてしまう。桐野さんの作品、続けて読むのはキツイけどぼちぼち他の作品も読んでいこう。2023/03/27

H!deking

74
飲み友達がここ何年かに読んだ本で一番面白かったと言っててハードル上げまくった状況で読んだけど、これは確かになかなか面白かった!軸は記憶喪失ものなんだけど、現代の貧困問題とか集団自殺にも触れてて読み応えがありました。エンディングもめっちゃ好み!オススメ!28冊目!2018/03/10

りょうこ

45
700P弱の結構分厚い文庫本。ゆっくり読んでいたようでてかなり頑張って読んだらしい(笑)と言うか面白くて一気に読めた。沖縄に一度行ったことがあったので情景が思い出しやすかった。でも内容はかなりダーク。ジェイクとギンジの今後が気になる。桐野夏生さんのグロい感じがたまに欲しくなるので、期待通りなグロダークに満足。2014/05/19

リキヨシオ

36
自分は一体何者なのか?記憶を失い森の中を必死で逃げる「僕」は1人の若者に命を救われる。昭光と名乗る若者に「ギンジ」と名付けられた僕は昭光と共に生きる為に沖縄の街に居場所を求める。2人の若者は過酷な環境の中でもがき続けるが…なかなか報われない、居場所を変えながら必死で生きていく。どこか影のある雰囲気のギンジと方言全開の明るいヤンキーの昭光に彼らに関わってくる登場人物の人間描写がとても生々しく重々しくて辛い展開なのに…物語にはどんどん入り込む…読み終わって初めて気づく…私今とてつもなく憂鬱な気持ちになってる。2016/06/30

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