出版社内容情報
さびしき「彼の人」の相貌を通して激動の歴史全体を描かんとする壮大な試み。近代日本の核心をえぐる著者のライフワークが文庫化。
内容説明
明治三十四年四月二十九日、迪宮裕仁親王は誕生した。チャーチル、スターリン、ルーズベルトら後の敵手よりも二十も若く。日露戦争、第一次大戦を背景に、少年は乃木希典による厳格な教育を受けて成長、その結婚をめぐって「宮中某重大事件」が起こる。昭和天皇と同時代の人々をおそるべき密度で描き、歴史の熱を伝える傑作評伝。
目次
明治の精神
二十世紀の子
養育先へ
日露戦争
もう一人の皇子
明治天皇崩御
大正の御世へ
帝王学
第一次大戦
立太子礼
パリ講和会議
宮中某重大事件
ヨーロッパ外遊へ
著者等紹介
福田和也[フクダカズヤ]
1960年、東京生まれ。慶應義塾大学文学部仏文科卒業。同大学院文学研究科仏文学専攻修士課程修了。現在、慶應義塾大学教授。文芸評論家として文壇、論壇で活躍中。93年『日本の家郷』で三島由紀夫賞、96年『甘美な人生』で平林たい子文学賞、2002年『地ひらく 石原莞爾と昭和の夢』で山本七平賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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じゅむろりん
14
迪宮裕仁親王から欧州外遊までの評伝。高校の日本史教科書でざっと上っ面だけ学んでいた明治大正が事細かに記録されています。でも2巻以降まだ買ってないんだよね…。2015/07/22
雨猫
9
1901年昭和天皇生誕から1921年ヨーロッパ外遊に出発するところまで。最近昭和史に興味があるので昭和史を知るには昭和天皇を知るべし!と読み始めたのだが自分の知識の無さにガックリ来る。明治から大正、昭和天皇を取り巻く人物や歴史的背景。かなりの有名人や大事件は分かるのだがそれ以外は知らないことば かり。福田さんのライフワークで第6部まである。wikiで調べながらじっくり読んでいこう。☆4つ2015/01/08
Akira Kumoi
7
昭和天皇の生涯をたどる大巨編の第一部。本筋もとても面白かったのですが、脇道にそれる裏ネタがまた楽しい一冊です。 東宮大夫、東宮御学問所副総裁として当時皇太子であった昭和天皇の教育に携わった濱尾新に関して、濱尾が訥弁のうえに話が長いことを「寒中うっかり濱尾の電話をとったために、肺炎を患って死んだものがいるという伝説を幣原喜重郎が書き残している」というエピソードを使って紹介しているところなど、著者の福田和也さんらしい衒学趣味ぶりを堪能できました。 2017/09/01
ZEPPELIN
6
昭和末期の生まれなので、やはり気になる昭和天皇。幼少時代の教育係が乃木大将だったとは知らなかった。「坂の上の雲」のせいか、愚将という評価はよく目にするが、たとえ後世の小説家が愚将と評価しようとも、明治天皇は昭和天皇が学ぶべき手本として乃木大将を選んだのである。小説だけのイメージで過去の人間を評価することがいかに馬鹿らしいか。人の上に立つことが生まれた瞬間から決まっていた昭和天皇と、明治天皇に殉死した乃木大将。どちらも孤独だったんだろうなと思うと切なくなる2015/05/10
あらあらら
4
他国の世相も比較出来るように書かれていてわかりやすい(その結果7巻にもなっちゃってるが)令和になって昭和世代として最後まで読んでみたい2020/01/11